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●新着情報
欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ学習記事をお届けします。

 

―正す会の窓・・・その68―

青葉・若葉の清々しい季節になりました。
すでにご案内のように、この5月9日は大阪で、5月16日には東京で当会のシンポジュウムを行います。
当会の前身である「住宅のクレームに悩む消費者の会」が生まれたのが昭和53年、当会が発足してからも32年目を迎えました。今まで多くの会員の皆様方や専門委員の先生方と、お互い助け合い励まし合いながら長い年月が経ったことになります。
今回は、今までの当会の活動の総括という意味もこめ、代表幹事澤田和也と顧問鳥巣次郎との講演を行います。
マスコミ報道関係者・消費者問題に携わる方々・OBの皆様方ともどもご来会お待ちしています。

平成21年5月3日

欠陥住宅を正す会事務局

★今月の「住まいの相談Q&A」は「その6」をお届けいたします。

≪住いの相談 Q&A その6≫

【朝日新聞『みんなの暮らし』欄〔大阪本社版〕に
昭和55年7月より40回にわたり連載】

新築住宅のネズミ
 以前住んでいた家でネズミに悩まされました。そこで新築に当たってセールスマンから「ALC板張り住宅なら絶対にネズミは侵入しない」と断言されたので、注文しました。しかし、入居後しばらくして天井裏でネズミが暴れ、悩まされています。電気配線を食いちぎられ、漏電したら大変だと心配です。ネズミの侵入は不可抗力でしょうか。それとも欠陥とみるべきでしょうか。
自己防衛こそ不可欠
 一般的にネズミが外部から床下や天井裏に侵入する経路としては、外壁の開口部などから直接入る場合と、いったん開けられた窓などから室内に入り、物陰に潜んで後、内壁や押入れの天井などを食い破ったりして入る場合が考えられます。
 ALC板というのは。軽量発泡(はっぽう)性コンクリート板のことで,ALC住宅とは鉄骨で骨組みを造り,ALC板の単体を外壁や床や屋根に張ってある住宅です。なるほど、外壁や屋根にALCが張ってあれば、ネズミが食い破り侵入することはないと、とセールスマンの言葉を信用されたのもうなずけないわけではありません。
 しかし、ネズミが外壁から直接天井裏などに侵入するのは、外壁を食い破るだけではなく、ALC住宅でも他の木造住宅などのときと同じく、外壁周りの換気孔などの開口部からも侵入します。施工ミスによる外壁の思わぬ隙間からの侵入も可能です。もしこのようにしてネズミが居住者の気づかぬうちに天井裏や床下に生息すれば駆除しにくいうえ衛生上も有害です。
 そこで建築基準法施行令(22条2号など)は、床下や外壁周りの換気孔や換気機器の給排気口には、ネズミや害虫の侵入を防ぐための設備(格子金物・金網など)をするよう定めています。お宅の外壁まわりを確かめてください。それらの開口部にそのような設備がない箇所があれば、欠陥として業者にその設置を求めることができます。たとえ設計図などでそれが明示され約束されていなくても、法令の定めがあるうえ、専門家としての業者が新築に当たり当然留意しなくてはならないことだからです。施工ミスによる外壁の思わぬ隙間についても、欠陥としてその穴埋めを求められるのは当然です。
 通常の住宅であれば、たとえALC板張りで明けられた窓などからいつの間にかネズミは室内に侵入し、潜伏します。ネズミの室内侵入を防ぐことは不可能でしょう。ALC住宅でも、住宅としての居住性から、内装下地は木組みされ、天井もつり天井とされているのが通常です。潜伏したネズミは内装のコンセントボックスなどから内装下地をかいくぐり、または押入れのベニヤ天井を食い破ったりして、天井裏に侵入できます。契約の際、特にこれらを防ぐため、居住性を無視して、壁・床・天井ともまるで土蔵のような室内にすることを約束したのなら別ですが、そうでないなのなら欠陥だというのは無理でしょう。室内にネズミが好んで侵入しにくい環境を整え、早期に室内のネズミを駆除するのは居住者に可能で、その責任と見られるからです。
 セールスマンの断言は確かにあなたの願望に的をしぼり、錯覚の盲点を突いたもので、あなたに対してはALC住宅を注文する直接の動機となったものでしょう。しかし客観的には、住宅の契約要素とは見られず、契約が錯誤により無効だとか、詐欺だとかは言えないでしょう。過当競争により悪質・不当な誘引が横行する現在、消費者もセールスマンのことばを鵜呑みにせず、よく内容を吟味し自己防衛することが必要です。

(昭和56年4月16日)