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欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ学習記事をお届けします。

 

―正す会の窓・・・その70―

3月の更新からお届けしています“住まいの相談Q&A”、今回は造成された宅地を購入し、家を建てた後に宅地に欠陥があるのを発見したケースについての相談回答です。
慎重に選んだ物件でも、欠陥の多くは入居してはじめて気づくものです。
契約内容によっては法律の制約がある場合もありますが、法律にも建築にも専門知識のない一般の消費者は、まず建築士や法律の専門家に相談することが解決への第一歩です。

(21・7・1)

≪住いの相談 Q&A その7≫

【朝日新聞『みんなの暮らし』欄〔大阪本社版〕に
昭和55年7月より40回にわたり連載】

分譲地の排水不良

Q、48年4月に東西に並んだ3区画の造成地の真ん中を購入し、54年10月に家を建てて入居しました。入居後1年たった55年10月ごろ、分譲当時からこの3区画の北側に設置されていた共用の側溝が、私の家の部分で両隣よりも低くなっていることがわかり溝(みぞ)下の東隣の部分へ排水されていないことがわかりました。このため、大雨の時など私の家の敷地に浸水して困っています。分譲後8年たった今でも業者に補修を求めることができますか。

特約なければ賠償も

A、 造成地分譲は、単なる裸のままの土地の売買ではなく、住宅敷地に必要な、擁壁、側溝、下水道、道路などの諸施設も一体として売買されるものですから、この排水側溝も当然この分譲地売買の目的物になっているものとみられます。
 民法は570条で「売買の目的物に隠れた瑕疵(欠陥)がある時は、わかった時から1年間その損害賠償を求めることができる」という、売主の瑕疵担保責任の規定を設けています。
 側溝の排水不良が「欠陥」であることは言うまでもありません。とくに、あると約束したか、または契約上当然予定されている性質や機能が欠けていることが「欠陥」とされているからです。排水側溝をつくるには、通常側溝予定の敷地部分を約50センチくらいの深さまで掘り下げ、約5センチの厚さのバラスをその底に敷き固めた上、水糸を張って片側へ排水されるよう勾配を取り、更にその上を厚さ3センチくらいの敷きモルタルでならし、その上にいくつかのコンクリートU字溝の単体を、溝の長さいっぱいにつないで完成します。恐らく、この全体のレベルのとり方が、下地の調整を怠ったか、またはU字溝の単体同士の繋ぎのモルタルを手抜きしたことにより、その部分から漏水し、質問者のお宅の敷地部分のU字溝が陥没し両隣の部分より低くなったのでしょう。補修に際しては、お宅の部分のみでなく3区分を通じての調整が必要です。
 問題はそれが「隠れた」欠陥かということです。「隠れた瑕疵」とは、「一般の取引で通常払われる注意を尽くしても、簡単に知ることの出来ない欠陥」のことといわれています。業者仲間の取引と違って、消費者にとって分譲地購入は恐らく一生に一度のことでしょう。側溝があるということに気づくのはまだよい方で、取引に際して水を流してまで側溝の施工程度を調べることまでは期待できません。家を建て実際にそこで風雨を体験して、初めてその欠陥に気づくのが通常のことでしょうから、この場合は「隠れた欠陥」として、これに気づかれた55年10月より1ヵ年間は業者に対して瑕疵担保責任を問えると考えます。しかし、厳密に言うと法律には「損害賠償」を求められるとあり、これは相当な補修代金その他の損害の金銭賠償を求められるということですが、実際には業者はこの損害金支払いにかえ補修に応じることでしょう。
 ただ、売り主が宅建業者の場合には、欠陥に対する責任期間を引渡しの日から2年(以上)と契約書で特約していることもあります(宅建業法40条)。今一度契約書を見直してください。もしこの記載があり、現在その期間が経過しているのなら、残念ながら業者にこの責任は問えません。しかし、分譲の際、業者が欠陥を知っていながらこれを告げなかったものなら、その場合は今でも責任を問うことができます(民法571条)。裁判所では欠陥があれば業者が専門家である以上、分譲の際にこれを知っていたものと推定してくれるでしょう。

(昭和56年3月5日)