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欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ学習記事をお届けします。

 

―正す会の窓・・・その72―

 8月に入り関西地方もようやく梅雨が明け、夏空が戻ってまいりましたが、
中国、九州地方では豪雨による大きな災害が発生しています。
被害にみまわれた地方の皆様には謹んでお見舞い申し上げます。
 さてホームページでもご案内していました、恒例の当会の夏期研修旅行、あいにく雨模様でしたが、霧の中の上高地散策もしっとりとした趣があっていいものでした。
 今年は“裁判官との付き合い方”というテーマーで研修を行い、参加者の積極的な意見交換があり、研修・観光とも予定どおり恙なく終了しました。
ご参加されなかった皆様にもお役に立ちますので、研修で使ったプログラムと討議の概略をご紹介します。ご参考にしてください。

(21.8.8)

≪平成21年7月31日 欠陥住宅を正す会夏期研修プログラム≫

====いま欠陥住宅裁判をしている人なら、
          また裁判をしようとしている人なら、
             調査鑑定している建築士さんでも
             はたまた訴訟に当たる弁護士でも
                 誰でも知りたい裁判官とは====

 裁判官とのつきあい方 

 一般の人にとっては、裁判官とは一生に一度でも直接触れるか触れないかの人達で、
“一体何をしていて、どういう人柄で、どういう考えで、
どのように争いごとを判断し決着を付けてくれるのか。”
ということは、裁判中の人はもとより今裁判を考えている人にとっても最大の関心事です。
 そこで、今年の夏期研修では専門家・体験者を交え、このあまり世間では知られていない裁判官像について各人の体験を持ち寄り具体的に組み立ててみたいと思います。
大方の被害者のご参考になれば幸いです。
 なお当然のことながらこれらは一般論ですので、全ての裁判官にあてはまるわけではありません。今日の討議を参考に、あなたが今当面している判事ではどうかと考えてみてください。弁護士さんとも率直な意見を交換して遺憾なきを期してください。

****************プログラム***************

 
司会者 代表幹事 澤田 和也
コメンテーター 副代表幹事 木村 孝
  顧 問  鳥巣 次郎

(A)解説 (澤田和也)

  1. 一、裁判官はどのように任命されるのか。
  2. 二、裁判官独立の原則。
  3. 三、合議体における各裁判官の役割。
  4. 四、単独事件と合議事件。

(B)質疑応答(討論) コメンテーターを軸に

  1. 五、一般的な裁判官のキャラクター。
  2. 六、裁判官と出世、又は都会地赴任の希望。
  3. 七、裁判官の判断の根拠としての証拠と弁論の全趣旨とあなたの法廷での挙措、態度。
  4. 八、裁判には毎回出頭する方が得策か。
  5. 九、裁判官の私生活と任地先希望。
  6. 十、裁判官の言う“納まりのいい”とは。
  7. 十一、先例又は判例に何故裁判官は縛られるのか。
  8. 十二、やさしく冗談口のきく余裕のある裁判官と
       不必要なことは一切言わない肩が怒っている裁判官
                  どちらがあなたにとってよい裁判官か。
  9. 十三、裁判官の任期と訴訟上の駆け引き。
  10. 十四、裁判官と書記官との関係。
  11. 十五、裁判官はどういうことをイヤがるか。

(C)質疑応答(主としてコメンテーターが答える)

どなたでも自分の疑問に思っていることを尋ねてください。

(D)まとめ   司会者

二時間では喋りきれないことが多いと思います。
後は各先生方のお部屋ででも二次会、三次会をかねてご討議ください。

≪≪討議のご報告≫≫

 上記プログラムに従って解説とディスカッションが行われました。体験者にとっても、専門家にとっても最も関心のある問題ですので、色々と意見や考えが出されました。速記録をとっていたわけではないので、今ここで全てを再現することは出来ませんが、以下当日の記憶をもとに主だった議論を取り上げ補足しつつご参考に供したいと思います。

一、  裁判官も普通の人達です。色々な性格の人、色々な頭脳レベルの人、趣味も様々なら好みも個々別々でこれといった型に嵌めるわけにはいきません。
二、  裁判官は難関といわれる司法試験の合格者ですので、概して頭のいいエリートということは出来るでしょうが、司法試験だけが難しいわけではなく、国家公務員試験の上級職や外交官試験、警察官の上級職試験も難関であり、裁判官だけはというわけのものではありません。難関なので比較的個々のばらつきがないように見受けられますが、裁判官にもばらつきはあるという認識が必要です。
 出来る人、出来ない人、温厚な人、人格円満な人、色々の人間のランク付けの中で上位に置かれるべき集団であることには違いありませんが、平成になってから司法制度の改革で司法試験合格者が従来の300人からその10倍もの3000人に引き上げられたことによって、今述べたばらつきの少なさは段々過去のものになりつつあるようです。
三、  レベルの低い判事は概して威張ることで自己の能力のなさをゴマかしているようです。不幸にもそのような判事にも当たる場合もあるわけで、当たれば災難ですが、当たったからにはそれに対応する方法をとるべきです。まず威張りたい者には威張らせることが必要です。
 自分が十分記録も読まず理解もしていないのに、へんな文句をつける裁判官もいますが、何しろ相手は権力者です。そういう出来の悪い判事に対しては出来の悪いことを常に念頭に置いてご機嫌をとりつつ、ご無理ごもっともと説明を繰り返したり、わかり易い証拠を補充することです。
“馬鹿につける薬はない”とも言えますが、多面“馬鹿につける薬もある”とも言えますので、そこは適時ご自身で考えることです。
四、  良く出来る判事は往々にしてジェントルで柔らかい人です。やはり頭脳明晰で事件に対する理解力があれば無理をする必要がないからでしょう。だからといってそういう人達を軽く見てはなりません。相手が立派で柔らかい人であればあるだけ自分も柔らかくフレキシブルな訴訟追及をするべきです。
五、  中には大きな声を出したり、多数で気勢を上げれば裁判所に圧力をかけられると思っている向きがありますが、それはマイナスと考えるべきです。第一裁判は多数で圧力をかける政治や行政と違って、あくまでも相当な証拠で言い分の当否を判断してもらう手続きです。声の大きさと要求の実現は正比例もしなければ反比例もしません。主張の当否の問題です。
六、  裁判は双方の言い分の当否を証拠で決める手続きですが、その証拠の中にはあなた方の裁判中における言動も入っていることに注意すべきです。裁判はもとより証拠つまり人証である人の証言、物証である契約書やその他書かれた文書や写真などにより判断すべきであると共に、実は訴訟法上は「弁論の全趣旨」として、あなた方の訴訟中の言動やそれから受けた裁判官の心証も証拠になるのです。
 裁判では大声で叫んだりしないことで、いつでもクールで静かに見守っていることです。中には相手方の虚偽に主張を憤慨するあまりに法廷で大声で相手方を非難したり、自己の憤慨の念を露わに出す人がいますが、概してそれはマイナスに働くと思われたらよいでしょう。むしろあなたの法廷における思慮深い態度から、相手方の言い分がおかしくてあなたの言い分が正しいと判ってもらう事です。
七、  箸にも棒にもかからず、いくら努力しても言い分を認めてくれそうにもない予断と偏見を持つ判事であったら、その人の任期を待つのも一つの方法でしょう。裁判官には任期があり、少し引き伸ばして時間を稼げば裁判官が交代する可能性もあります。
 こんなことを言うと嫌な気がするでしょうが、裁判官は法廷でしか会えないあなたをそ知らぬ顔をしながらじっと見つめているのです。公正な裁判をしようと思っている限り、あなた方を見つめてあなた方自体から事柄の当否を判断したいのも当然でしょう。これも証拠とすることの出来る「弁論の全趣旨」に入っているのです。
八、  裁判をするからにはあなたには色々と言いたい事があり、それに見合う証拠を持っていることでしょう。しかし、常に心得ておかなければならないのは、あなたの一日には限りがあるように裁判官の裁判にあてる時間にも限りがあるということです。こちらが困っているから十分に色々とこちらの言い分を聞いてくれ、証拠を見てくれて当然だとあなたは思うでしょうが、限られた時間の中であなたの言い分を理解するためにあなたにあてる時間は限られているのです。
 “あれも言えこれも言え”、“あれも出せこれも出せ”と弁護士に要求される依頼者の方も多いのですが、多くを語ることは限られた時間の判事には、かえって少ない理解しか与えないことを知るべきです。
 裁判官とて人間です。家庭もあれば、体調の良いとき悪いとき、家のことが複雑になっている時とか色々な状況を持っているわけです。それにあなたのためだけに裁判をしているわけではありません。裁判所によって、また担当する部署によって手持ち事件数に差異はありますが、普通の人では考えられないくらいの多くの事件と読まなければならない分厚い記録を抱えています。裁判所だけで記録が読みきれず家に持ちかえりシンコウヨハイに徹するまで(もしかして眼光紙背に徹するでは・・・)黙々と読んでいるのです。大都会の住宅に恵まれない判事の中には、狭い裁判官官舎で中学生の子供が勉強している横で一緒に机を並べて記録を読んでいる人もあると聞けば、あなたならずとも複雑な気持ちになるでしょう。
 だから頼んでおられる弁護士の話しに耳を傾け、主張は出来るだけ簡略に、これが認められれば欠陥住宅の訴訟では“取り壊し建て替えするほかない”との判断が必ず出ると思われる大切な論点に主張を絞るべきです。そしてそれに見合う証拠も、出来るだけストレートにそれが証拠立てられるものに絞るべきです。
 多くの人は被害感情のあまり、又どうしても勝ちたいと思うあまり“あれも言えこれも言え”、“これも出せあれも出せ”と依頼している弁護士に強要しがちです。“下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる”というものではありません。あなたも裁判官にあなたの事情を汲んでもらいたいのならば、あなたも裁判官の置かれている過多な記録と、それを読むために家庭での時間にも繰り込んでいる事情を理解され、裁判官の持つ絶対時間の不足を考えれば、主張や証拠は出来るだけ絞って裁判官に理解してもらえる時間を確保することです。
 裁判が救済を求めるための最後の機会であり、充分あなたの思いを裁判官に届けたい気持ちは理解できますが、多くを語り多くの証拠を出すことは裁判官の理解を高めるものではないのです。むしろ遠慮がちに厳選した主張と証拠を提出してこそ、あなたの悩みをより深く理解してもらえることでしょう。
 裁判官の置かれている仕事過多、時間不足の現状から見れば『多くを語ることは何も語らない結果に陥る』ことを知るべきです。
つまり裁判官に多くを語ることよりは『大切な論点を理解させる』ことが必要だということです。
九、  その他色々と疑問点の質疑応答がされましたが、要は当事者本人であるあなた方がこれら判事の特性を知りつつ、証拠の整理をしながら言うべきことを言うべきでしょう。

以上のような趣旨の討議が専門家を交えされましたが、要は自分のあたっている判事のあり方を良く見極め、こまめに書面や証拠を出して訴訟追行されることが大切です。

(そのほかプログラムに従って多くの討議がされましたが,
紙数の制限もあり割愛させていただきます。)

結語 裁判官の世間知らずの面を知り、誤解されないようプライドを尊重しつつ、自分の思いを静かに主張していく。

(21・8・8 澤田和也)




なお7月31日(金)〜8月2日(日)までの信州研修旅行は、東西両会員が一同に会し1日目は穂高温泉、2日目は平湯温泉に宿泊し、貸切バスで上高地や郡上八幡等を回遊して相互親睦を高めつつ、楽しくスケジュールを終えました。