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●新着情報
欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ学習記事をお届けします。

 

―正す会の窓・・・その79―

 平成21年3月17日更新の“正す会の窓・・・その63”よりお届けしています≪住まいの相談Q&A≫も回を重ね、今回は“その16”のご紹介です。
 相談内容が欠陥住宅によくみられるケースが多く、その回答が具体的で判りやすいというお声を頂いております。
今年も皆様方のお役に立つ情報を順次お届け致しますので、どうぞご参考にしてください。

(平22・1・1)

≪住まい相談 Q&A その16≫

【朝日新聞『みんなの暮らし』欄〔大阪本社版〕に
昭和55年7月より40回にわたり連載】

外壁や基礎のひび割れ
 工費が安くて丈夫だからとすすめられ、大手の住宅会社にツーバイフォー(2×4)工法の木造2階建てを注文しました。しかし引渡しから半年もたたないうちに外壁と基礎にいくつかのひび割れが生じ、外壁の下部が膨らんできている処がある上、室内の垂直と水平の線にゆがみがあり、内壁と天井の間に隙間があるのに気付きました。業者は「ひび割れや隙間は充填剤(じゅうてんざい)やモルタルで埋めて化粧替えをしさえすれば、これくらいのゆがみは気にするほどのものではない」と言いますが、本当にそうでしょうか。
建物全対の調査を
 ツーバイフォーとは枠組み壁工法といわれ、柱・梁(はり)などで骨組みを造る木造軸組み在来工法と違って、2インチ×4インチ(1インチ=2.54p)角の材木で枠組みを造り、これに構造用合板を打ち付けて壁・床・屋根を造り上げる工法で、昭和49年に建設大臣告示で新しい木造工法として認められ(52年に告示改訂)、住宅金融公庫(現住宅金融支援機構)の融資住宅の対象ともなっている工法です。
 在来工法のように柱や梁などの継ぎ手や仕口(接合部)に複雑な加工がいらず、枠材と合板など部材と部材との接合には釘や金物だけで済ませるので大工手間も省け、工賃も材料費も安上がりの上、柱や梁などを用いず、枠組み壁だけで荷重を支えるので自由な間取りもとりやすく、デザイン性にも優れているなどと宣伝されています。
 しかし、どのような工法を用いるにせよ、建築法規や告示が定める技術基準や標準工法を正しく守ることが建物の安全性能を確保するのに必要で、それぞれの工法には長所も短所もあり、一概に工法だけで建物の優劣や丈夫さを比較することは出来ません。
 ひび割れには、モルタルやコンクリートの乾燥収縮などによる、いわゆるヘアークラックと、建物の骨組みの手抜きなどから下地が移動することにより生じる、いわゆる構造クラックとがあります。前者ならコーキングなどの充填剤やモルタルの充填だけでひび割れがふさがれ、もはやひび割れが拡大増加する心配はありませんが、後者なら構造や下地から根本的に補修しなければならないうえ、放置しておくと建物の安全にかかわることもあります。
 室内のゆがみや外壁下部のふくらみも、目で見るだけで意識されるのなら異状です。ツーバイフォー工法は、部材と部材とを釘や金物だけで一体化して家を造る工法ですから、枠組み材と構造用合板などの部材との釘打ち間隔、釘や金物の取り付け方、枠材と枠材との間隔など、建物の安全のために在来工法よりも詳しい技術基準が法定されています。
 これを正しく守って施工すれば、材料や手間が省けるというものではありません。大手の住宅会社でも設計から施工まで直接自社のみでするということはなく、施工は地場工務店に一括下請けさせるのが通例ですし、新工法ほど慣れない職人が多く、しかも下請け代金の無理があったりなどして、材料や手間が手抜きされることもあります。
 基礎のひび割れも表層部だけではなく、内部にまで入り込んでいるのなら、基礎底盤やその下の割ぐり石の手抜きが予想されないわけではありません。
 いずれにせよ第三者の建築士に依頼し、単に目に付くところだけでなく、建物全体にわたって綿密に調査してもらい、ひび割れなどの原因を専門的に突き止めてもらって、正しい対策を立てられることです。

(昭和57年4月1日)