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欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ学習記事をお届けします。

 

―正す会の窓・・・その83―

3月は寒さと暖かさがめまぐるしく変わり、体調を崩された方もいらっしゃる
のではないでしょうか。
ようやく4月になって陽気も落ち着いて春たけなわとなってまいりました。
春の眠りを楽しみたいものです。 今月のQ&Aはその20と21をお届けします。続けてご覧ください。

(平22・4・5)

≪住まいの相談 Q&A その20≫

【朝日新聞『みんなの暮らし』欄〔大阪本社版〕に
昭和55年7月より40回にわたり連載】

新築翌年から雨漏りつづき
 昭和53年6月に木造一部二階建ての住宅を新築しました。翌54年夏の台風で天井裏が大変雨漏りしました。一階の屋根(小屋ね)と二階外壁との取り合い部分から雨水が入るのです。業者は外壁下部の水切り鉄板とのし瓦との間や、のし瓦と小屋根の平瓦との隙間にコーキングをしたり、漆喰を詰めたりして補修しました。しかし、55年になると再び雨漏りが始まり、その後も続いています。たびたび連絡するのですが補修してくれず、今では他の業者にやってもらえと言われ困っています。
業者に賠償請求を
 ご質問の場合、一般的な雨漏りの原因としては、屋根の勾配が足りず(瓦葺では、10分の4の勾配は必要)、または小屋根の平瓦と平瓦との重ねが甘く(縦6センチ、横4センチくらいの重ねは必要)、吹き上げる雨水が瓦からの重ねから浸入したり、外部下部ののし瓦の水切り鉄板が十分でないなど、直接的な雨水対策に手抜きがあることが考えられます。
 しかし、業者の補修内容からこの場合には多分、外壁下部ののし瓦と屋根面の平瓦との納め方に原因があるものと見られます。小屋根と外壁との接合状況には、図(A)と(B)との二つの場合があります。
 (A)は小屋根が外壁に沿って傾斜している場合で、のし瓦下に差し込まれる外壁沿いの平瓦に、一枚の瓦全部が使用されず、瓦の割付の関係から一枚の瓦を割って使用し、図のように瓦の波型の下降部がのし瓦の下に差し込まれていると、雨水は外壁方向へ垂れ落ち、屋内に侵入します。
(B)は外壁から小屋根が垂れ下がっている場合ですが、やはり瓦の割付が悪くてのし瓦の下に平瓦が十分に差し込まれていないと、吹き上げで雨水が屋内に浸入する場合があります。
 あなたの場合、(A)(B)いずれに当たるとしても、仮にのし瓦と平瓦との隙間に漆喰を充填しても雨漏りを完全に防げません。漆喰自体に吸水性がある上、乾燥とともに細かいひび割れができるからです。
  この補修を完全にするにはいったん瓦を取り去って、壁沿いの平瓦がのし瓦に納まるように、屋根瓦に割付からやり直さなければならないことが多いのです。これは多額の補修工費がかかるところから、多分業者は漆喰の充填でお茶をにごしているのでしょう。
 もはや、業者には根本的な補修をする意向はないようですので、念のため専門家に原因を確かめてもらった上で、根本的な補修対策を立ててもらい、別の業者に補修させることです。その工費は民法634条2項により、「補修にかわる損害金」として、もとの業者に賠償請求出来ます。
 新築契約では往々、保障期間を引渡しの日から1年か2年に制限していますので、引渡し日から4年以上たった現在、この請求が出来ないのではないかとのご懸念もあるでしょう。しかし、ご心配は要りません。
あなたの場合は業者が昭和54年夏に雨漏りの欠陥を認め、不完全ではあってもいったん補修していますので、もはやこの補修期間のことは問題とはならず、補修が不完全なものとして、完全な補修(またはそれに代わる損害金)を求める権利があり、これはいったん欠陥補修を認めた54年夏から10年間は時効にかかっていないとみるべきだからです。

(昭和57年9月9日)

≪住まいの相談 Q&A その21≫

【朝日新聞『みんなの暮らし』欄〔大阪本社版〕に
昭和55年7月より40回にわたり連載】

家屋木材の品質判断基準
 住宅金融公庫の融資を受けて、木造住宅の建て替えをしています。棟上が終わったのですが、使用されている柱、梁などの木材の品質、寸法が展示場のものと違っていて、傷、虫食い穴だらけのものや、表皮のついたものを使用しています。業者は、「当社標準仕様でやっている」と返事をするだけです。契約書にも使用木材の種類、寸法、品質の明細はありません。何か判断基準はないですか。
公庫仕様書に定め
 ご質問の内容から、多分、基礎骨組み屋根などの、いわゆる建物の本体(建築)工事については、「当社標準仕様による」として、坪当たり単価に床面積を掛けた一式見積もりで注文契約を結ばれたのでしょう。展示場の建物はあくまでも宣伝用のモデルであり、必ずしもその仕様が個々の注文契約の内容になるものではありません。消費者の盲点となりやすいところです。
 したがって、契約書にその「当社標準仕様」なるものの明細が付けられていない限り、設計図でわかる点を除いては、使用木材の寸法、樹種、品質(等級)、単価ははっきりしないこととなり、追加工事代金などのトラブルも起きるわけです。
 ただ、あなたの場合、公庫融資住宅ですので、公庫の融資基準によらねばならないことは契約上当然なことです。幸い、公庫はその融資基準を具体化した木造住宅工事共通仕様書を監修し市販させており(表)、契約で具体的に定めていない仕様については、これを基準とすべきこととなるわけです。
 これは木材の樹種、寸法、品質についても規定があります。例えば、「構造材については製材の農林規格の1等以上のものを、造作材については同規格の小節(こぶし)以上のものを使用すべきである」などと定めており、同規格は木材の傷、虫食い穴、曲がりなどの欠点の程度で詳しく等級付けをしています。
 ご質問の木材がこの規格のどの等級に当たるかで、使用すべきでない不良材かどうかの区別はつくわけです。樹種や寸法(太さ)についても、使用場所ごとに詳しく定めていますので、公庫仕様書をよく読んで比べてみてください。
 しかし、樹種については選択範囲が広く、なかなか公庫仕様書だけでは定まらない上、寸法や品質についてもあくまでも標準ですので、その際第三者の専門家を交えて業者と本体建築の材料の種類、寸法、品質、単価について話し合われ、文書化されることをお勧めします。

(昭和57年10月7日)


公庫木造住宅工事共通仕様書の定める木材の樹種寸法例

(57年全国版)
部 位 参考樹種 寸 法
柱(室内から見えるもの) 桧(ひのき)、杉、とが 105o×105o標準
柱(室内から見えないもの) 杉、とが 同 上
通 し 柱   120o×120o標準
土 台 桧、台湾桧、米桧、ひば他 105o×105mm標準