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欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ学習記事をお届けします。

 

―正す会の窓・・・その84―

1年のうちで5月は最も凌ぎやすい快適な季節ですが、今年は雨の日が多く
関西ではもう梅雨がはじまったような今日この頃です。
今月の≪住まいの相談Q&A≫はその22と23をお届け致します。

(平22・5・27)

≪住まいの相談 Q&A その22≫

【朝日新聞『みんなの暮らし』欄〔大阪本社版〕に
昭和55年7月より40回にわたり連載】

柱の寸法の呼称と実寸
 木造住宅を新築中です。現場で雨の中に木材が放置されており、柱などにカビが生えています。大丈夫でしょうか。また、柱は図面や見積書では105mm角となっているのに103mmという印が押されています。測ってみても103mm角しかありません。業者は「呼称寸法と実寸は違う」と言いますが、本当でしょうか。
粗雑施工に注意を
 確かに消費者にとっては、材木が雨の中に放置されカビまで生えている状況では、組み立てられた場合、果たして大丈夫か、との心配が生まれるのももっともです。
 放置の状況や期間にもよりますが、一般的には組み立てられてのち乾燥しますし、そのまま使用させても差し支えないでしょう。室内の見える部分の柱は、建物の引き渡し前に漂白剤で洗い(あらい)をかけさせれば、カビあとは消えるものです。それよりも組み立てられた後にもカビを繁殖させないように、建物の防湿、通風を考慮した建て方をさせることが大切です。
 しかし、このようなずさんな業者の現場管理の現状は、粗雑工事や手抜きを生みやすいのです。この際、業者に対して、厳重な管理態勢を整えるよう強く要望し、自分でもこまめに現場に足を運び注意することです。
 柱の寸法については、注文契約上は呼称寸法なるものはありません。設計図や仕様書で決められている寸法どおり(実寸)の材料が使われて当然です。つまり通常は、図面などの寸法は製材所で製材されたままの、いわゆる「引き立て寸法」を表しているのです。
 ただ、室内の見える柱については、現場でカンナがけをして化粧しますので、組み立てられた後には、一辺につき最大1.5mm程度ずつ減り、102mm角程度(図)となります。ただし、図面中に寸法線が記入され、105mmと明記されているときには、「仕上がり寸法」つまりカンナがけして、仕上げた後の寸法の意味ですので、カンナがけされた後も105mm角の実寸がなくてはなりません。
 現場に放置されている柱に、103mmの印が押してあるのは製材所で押したもので、「引き立て寸法」を示しています。ですから、これは明らかに契約違反です。なお、柱について農林規格は5mm間隔の寸法規格となっており、103mm角の規格寸法はありません。安上がりな規格外品が使用されているものと思われます。

(昭和57年11月4日)

≪住まいの相談 Q&A その23≫

【朝日新聞『みんなの暮らし』欄〔大阪本社版〕に
昭和55年7月より40回にわたり連載】

新築1年足らずで雨漏り
 鉄骨ブロック造り平屋根の2階住宅を新築しました。新築後1年もたたないうちに雨が漏れ始め、業者に窓周りに充填材(コーキング)をつめてもらったり、屋上防水のやり直しをしてもらいましたが、まだとまりません。屋上外周の立ち上がり(パラペット)の上部、ひさし、屋上床面にはひび割れが出来ています。コーキングはつめてもらっているのですが、困っています。
構造の調査が必要
 鉄骨はねばり=靱性(じんせい)=が強く、比較的少ない材料で強固な構造の建物を造れる利点がありますが、木やセメントなどの他の建材とのなじみ(接合性)が悪く、建物設計上いろいろと難しい問題を抱えています。
 よく、「鉄骨建物は揺れやすいから外力を逃がせて強いのだ。揺れるから外壁や屋上にひび割れができて当たり前だ」などと、ひび割れの言い訳をする業者がありますが、これは全くの詭弁です。
 鉄骨が揺れやすいこに注意して、過度に揺れることによってひび割れや床のたわみなどの障害を起こすことがないよう、設計や施工に当たって、あらかじめ建物に相当な剛性を持たせる努力をするのが当然だからです。
 新築建物で方々にひび割れが起きること自体が異常です。ひび割れが雨漏りの原因になることは事実ですが、雨漏りの問題だけではなしに、鉄骨の厚さ、鉄骨と鉄骨との接合方法、基礎など、建物の構造に手抜きがあって、相当な剛性に欠けているのではないか、との検討も必要です。もしそうだとしたら、単なる雨漏りの問題だけではなく、建物の安全性の問題ともなるのです。
 外壁下地のブロックはもともと吸水性がある上、平屋根そのものが雨が一たん屋根(屋上)に集めて、それから呼び樋(とい)で屋外に排水する方式ですので、雨仕舞い(防排水対策)には設計の段階から慎重な配慮が必要です。
 単に防水をやりなおしたり、コーキングでひび割れを埋めることだけでは片付かない時が多いのです。ご質問の趣旨にそう雨仕舞いの例を説明図で示します。ただし、雨仕舞いはこれに尽きるものではなく、実情に合わせたきめ細かい対策が必要です。
 この際、第三者の専門家に以上の諸点について調査をしてもらい、抜本的な対策を立ててもらわれたらと思います。「ひび割れにコーキング」と言うだけでは、「一時しのぎの膏薬(こうやく)」に終わるおそれがあるからです。

(昭和57年12月2日)