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欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ学習記事をお届けします。

 

―正す会の窓・・・その87―

お盆の行事が終ると、まだまだ残暑は厳しいのに町にはどこか寂しさが漂ってまいります。 夕暮れもいつの間にか早くなって驚かされます。
ことのほか暑かった今年の夏の疲れに負けませんよう、体調管理にくれぐれもご留意ください。

今月の≪住まいの相談Q&A≫はその26と27をお届けします。

(平 22・8・18)

≪住まいの相談 Q&A その26≫

【朝日新聞『みんなの暮らし』欄〔大阪本社版〕に
昭和55年7月より40回にわたり連載】

思ったより貧弱な新築仕様
 木造住宅を注文しました。契約の際、建築工事代金は、坪当たり単価はA仕様40万円,B仕様35万円と言われ、少しでもグレードの高いものをと思ってA仕様を頼みました。ところが工事に入ってみると、材料や仕上げが思いのほか貧弱です。そこで当方の思う材料に替えるように言うと、先方は変更工事見積書を持ってきたのですが、大変高額で困っています。
第三者の再積算を
 ご質問の場合は多分、企画住宅とか呼ばれているものです。住宅の本体や設備について、あらかじめ業者が大まかな設計類型と仕様や坪当たり単価を決めておきます。消費者がそのうちからある類型を選ぶと、その類型の坪当たり単価に注文住宅の床面積を掛け、建築代金を決めると言うものでしょう。
 契約に際しては、簡単な仕上げ表程度のものしか交付されないものです。契約書にそのA仕様に従った個々の材料や品質や仕上げなどの詳細を具体的に記載した図面や仕様書も添付されていないのが通例です。こうしたことから消費者が展示場やパンフレットで描いたイメージと現実の施工との間にズレが広がり、ご質問のような結果を招きがちです。
 業者は恐らく、A仕様の具体的詳細は社内規定で決まっているのだとか、個々の材料などの具体的選択権は契約で当社に委ねられているのだとか主張しているのでしょう。しかし、厳密に契約の際の状況を考えれば、必ずしもそう言い切れるものではありません。
 契約に際してA仕様による材料品質などの具体的詳細が示されていない以上、社内規定はあくまでも業者内部の規定で注文者を拘束するものではありません。A仕様,B仕様と分けて坪当たり単価に差をつけている以上,A仕様はいわばデラックス仕様とも考えられます。仕様表に反しない限り、どんな品質のものでも業者が自由に選んでよいと言うものではないとも考えられます。
 ただ、それはあくまでも「グレード感」から来る制約ですので、そこから直接的に材料品質などの具体的詳細が決まるものでもありません。ですから、“契約書添付の図面や仕様表の範囲で個々の材料等の具体的選択は一応業者に委ねるが、もし消費者から異議が出れば、当事者双方の協議による”と、この契約を解釈するのが妥当です。
 そして、そもそも坪当り単価とは、具体的な材料や手間賃を積算してそれに一定の経費を加えた契約代金を床面積で割ったもので、単なる住宅品質や性能の目安に過ぎず、そこから個々の材料や品質・単価などが決まるものではないのです。
 工期を急がれるのは判りますが、この際、第三者に依頼され、あなたの希望する具体的仕様によって全体の建築代金を積算し評価してもらってはいかがでしょう。それと契約による建築代金との差額を清算する形で業者と話し合われ、希望通りの仕様に仕上げてもらわれたらと思います。

(昭和58年6月16日)

≪住まいの相談 Q&A その27≫

【朝日新聞『みんなの暮らし』欄〔大阪本社版〕に
昭和55年7月より40回にわたり連載】

鉄筋か木造か
 いま建築士さんにお願いして自宅新築の設計中です。敷地は約330平方メートルで、家族構成は主人46歳、私41歳、長男15歳、次男14歳の4人です。さて構造のことですが、建築士さんは鉄筋コンクリート造りをすすめられますが、木造の方がよいと言ってくれる人もあり迷っています。これから私達家族が長い間、より快適に暮らすためにはどの構造がよいでしょうか、教えてください。
やはり好み優先で
 居宅として鉄筋がよいか、木造がよいかは、一般論ではなかなかお答えできかねる問題です。両者の一般的な特色としては、お頼みになっている建築士さんから説明があったことでしょう。
 例えば、木造は日本の湿潤な風土に適しており、木肌の持つやわらかさが落ち着きを与えるとか、古来から伝統的工法が確立していて設計や施工が比較的容易で工費も比較的安上がりで、補修や増改築もしやすい。反面、火事に弱く、シロアリなどの害虫に犯されやすいとかです。
 鉄筋は頑丈で遮音性、耐火性にすぐれ、好みのデザインがとりやすいが、設計施工に特別な技術や手間がかかり、建物重量が重くなるので軟弱地盤では基礎補強がいり工費がかさむ、などです。
 しかし、これは一般論であって、いずれの構造をとるにせよ、設計の段階において欠陥面を補い是正する考慮を払えば、長所が生かされた快適安全な住まいとなるものです。
 建築士に今一度、どうして鉄筋をすすめられるのか、その具体的理由をゆっくりと納得のいくまで説明してもらうことです。たとえば付近に高速道路が通っているので遮音性を重視したいとか、地域指定のため耐火建築物とする必要があるとか、造形的な建築空間をつくりたいとかの希望がある場合には、当然鉄筋による具体的な必要が生じてくるわけです。
 もしどうしても鉄筋にしなければならない具体的な理由がないのなら、あなた方の好みを最大限に主張すべきです。単に建築士さんがすすめるからというようなことでは、悔いを残します。
 ご参考までに木造でも鉄筋でも構造についての技術基準を正しく守れば、耐震性のある丈夫な家になるわけですし、鉄筋が木造より長持ちするといっても、それは家の構造体に関してのことだけで、内装や設備についての経済的耐用年限は全く同じと考えてよく、内部から火を出せば鉄筋とて結局は、建て替えざるを得なくなります。
 長年の間には住居様式や環境に変化を生じ、必ずしも子供達が、今の様式の住まいを快適だと思うわけではありません。予算と敷地状況に合わせて、あなた方夫婦の好みを最大限に生かした設計を求められることが、何よりも得策です。

(昭和58年9月22日)