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欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ学習記事をお届けします。

 

―正す会の窓・・・その95―

暦の上では立春です。
日差しも心なしか明るく、
春への期待がふくらんでくる今日この頃です。
今月の≪住いの相談Q&A≫は その31と32をお届け致します。

(平 23・2・15)

≪住まいの相談 Q&A その31≫

【朝日新聞『みんなの暮らし』欄〔大阪本社版〕に
昭和55年7月より40回にわたり連載】

公庫基準と欠陥住宅
 木造住宅を新築したいと考え、色々と雑誌をみたり、人に話しを聞いたりしています。住宅金融公庫(現:住宅金融支援機構)の融資を受ければ、公庫が色々と設計や工事を調べてくれるので欠陥のない家が建つとのことですが、それならば建築士さんの費用も節約できて良いと思っています。果たしていかがなものでしょうか。
100パーセントは防止出来ぬ
 住宅金融公庫は「建設基準」を定めて、これに従って住宅を建てることを融資条件としています。その内容は、現在の日本社会における「最低限の基準」として定められた建築関係法令を守ることを第一とし、家の基礎、骨組み、日照、断熱などについての選材や工法を定めたものです。いわば現在レベルにおける庶民住宅としての平均的性能を持たせようというものです。
 このため公庫は、自治体の建築部局に委託して融資住宅の設計審査や現場審査(工事検査)をさせています。したがって、形式的にみれば融資住宅である限り、最低限の住宅としての性能が確保されるはずで、その意味で公庫融資を受ければ欠陥のない家が建つ、と言われているのでしょう。
 しかし、私達の会が扱った事例では、公庫融資住宅でありながら基礎や家の骨組みなどの建設基準が手抜きされた欠陥住宅が見受けられるのです。これは現場審査といっても、工事途中では屋根が葺きあがった段階で通常一回だけしかされず、それも受託機関の人員や時間の制約から、目で見て分かる欠陥の指摘や是正の指示などにとどめられているため、いったん建ちあがったら分かりにくい基礎や骨組み、下地などがどうしても手抜きされやすい実情だからです。
 このような場合は、残念ながら公庫に対して審査の責任は問えないものと解されます。というのは法律論からいえば、公庫は融資者として公庫自身のために必要な範囲内で検査を行っているに過ぎません。消費者から依頼を受けて消費者のために設計や工事監理をしたものではないからです。
 それに公庫の審査は、あくまでも建設基準の範囲に限られ、設計図や仕様書の隅々にわたって材料や工法や仕上がりがその通りかどうかまで調べるものではありません。これは、消費者自身かまたは消費者から工事監理を受託した建築士が調べることなのです。公庫審査は、消費者にとっては欠陥防止の為の一種の歯止めに過ぎないものと考えるべきです。だから制度改革の要否はさておき、現在の公庫審査システムだけで、消費者のための欠陥防止の役割と機能を100パーセント期待できるものではない、と言わざるを得ないのです。

(昭和59年3月29日)

※住宅金融公庫は、平成19年4月1日より(独)住宅金融支援機構となりましたが、
ご質問当時の名称を使用しています。

≪住まいの相談 Q&A その32≫

【朝日新聞『みんなの暮らし』欄〔大阪本社版〕に
昭和55年7月より40回にわたり連載】

新築契約の支払い方法
 ある住宅業者に新築注文しようとしています。その業者は「たとえば契約時に半金でも支払ってもらえば、材料を問屋で現金買いが出来て大変お安くなる。代金は支払い条件次第だ」といいます。誠実そうな業者ですし、安くしてもらえばそれにこしたことはありませんから、応じてもよいと思うのですが、両親は出来あがって払うのが建前だと反対します。どんなものでしょうか。
出来高払いが安全
 家の新築注文は、法律上は通常請負契約で、約束したものが出来上がったら引き渡しを受けるのと引き換えに代金を支払うと言うものです(民法632条、633条)。ご両親の言われるのももっともです。
 しかし、現在の新築契約は大抵これを契約で修正して、分割払いの方法にしています。即ち契約時、上棟時や完成引き渡し時など、一定の時期に数回に分割して代金を支払うというものです。業者の資金繰りと、もし消費者が途中で代金を支払えなくなった場合の損失を出来るだけ少なくしようとするためにそうされているのでしょう。
 ただご質問にあるように、契約時に代金の半額を支払うというようなことは余りにも消費者にとってリスクの多い契約です。材料を先買いすれば安くなるなどというような業者のことばは一応もっともらしく聞こえますが、建材市場の流通機構は複雑です。建材も種類ごとに市況相場が変動するうえ、住宅に使用される建材も多種にわたります。住宅一軒分の建材量を現金買いしても、果たしてどれだけ安くなるのかは疑問です。業者の過去の扱い高、信用度によっても左右されます。一般論としては、そのように先払いを促すところに信用上の不安が感じられます。
 ご参考までに、木造住宅の場合、上棟時までに要する実際の工事原価は、ほぼ契約代金の二割程度に過ぎないとも言われています。従ってもしそうだとしたら、よく見受けられる契約時、上棟時に代金の3分の1ずつ、引渡し時に残金と言う場合でも、上棟時において既に消費者は差し引き4割以上もの先払いをしていることになるのです。これを悪用して次々と仕事をとり、資金繰りにあてる業者もあるようです。上棟後の仕事のための資金は次の契約代金でまかなうというやり方で、結局は工事の遅れと欠陥を招きやすくなるのです。
 消費者にとってリスクが少なく、業者にも無理を強いない代金支払い方法は、毎月の出来高を建築士などに査定をしてもらってこれに応じて代金を支払うという出来高払いです。本来信用があり、よい家を建てる熱意と能力のある業者ならこれに応じるはずです。もし建築士の費用のことなどから出来高払いがしにくいのなら、代金の支払い分割は出来るだけ回数を増やされるのがベターでしょう。代金を全額支払ってしまえば、ともすれば手直しや補修をスムーズにしない業者もあるからです。

(昭和59年4月26日)