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●新着情報
欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ学習記事をお届けします。

 

―正す会の窓・・・その96―

このたびの東日本大震災の被害を受けられた方々に心からお見舞い申し上げます。
時間の経過と共に明らかになる大地震による未曾有の災害の大きさに言葉を失います。
自然の力の計り知れない大きさをあらためて思い知らされます。
お亡くなりになられた方々のご冥福を祈ると共に、
まだ行方のわからない方々の1日も早い救出をお祈りいたします。

(平 23・3・25)

★今回の住まいの相談Q&Aはその33と34をご紹介します。

≪住まいの相談 Q&A その33≫

【朝日新聞『みんなの暮らし』欄〔大阪本社版〕に
昭和55年7月より40回にわたり連載】

マンションの雨漏り
 昭和57年4月に完成した、鉄筋のマンションの3階を買い取り住んでいます。昨年天井裏で雨の漏るような音がしていましたが、この5月初めの夜、強い雨だれの音がして天井床から雨水が落ちてきました。業者に見てもらうと、外壁面と4階のベランダにひびわれがあり、そこから雨がもれるとのことです。天井板を取り替えただけで抜本的修理はしてくれず、空室があるのに部屋替えもしてくれません。
欠陥調査の依頼を
 雨漏りの原因は、直接的には雨仕舞い(雨水が屋内に浸入しないようにするための施工上の配慮)が不完全か、または施工当時は完全であっても後で何らかの原因で役立たなくなったことによるものです。通常外壁やベランダの表層部に単純なひび割れが出来ても、鉄筋コンクリートの建物ではその下部に防水層などがあり、雨仕舞いが完全であれば屋内までも雨漏りがすることはまずありません。新築の建物にも雨漏りがするほどのひび割れが生じること自体が異常で、あなたが不安がられるのはもっともです。
 第三者の建築士に依頼されて、単に防水面だけではなしに、基礎や建物本体、つまり構造体からも欠陥がないかを調べてもらい、今後のための正しい情報を入手することです。もし構造上の欠陥があれば建物全体の安全性の問題となり、単なる部屋替だけでは済まなくなるでしょう。また、防水面の欠陥だけの場合でも、マンションが一つの建物である限り、部屋替えだけでは済まない場合が多いでしょう。仮に補修が可能だとしても、マンションの場合、専用部分だけではなく共用部分も含めての補修とならざるを得ないことを考えると、結局は買い戻しさせるのが得策と思われます。
 民法570条は売買の目的物、つまりマンションに分からなかった欠陥があって、そのため契約の目的が達せられない時には、欠陥が分かったときから1年以内に限って契約の解除、つまり買い戻しの請求が出来るとしています。また宅建業法40条は売り主が宅建業者の場合(あなたの場合は多分そうでしょう)には、建物を引き渡した時から2年間は、契約ででもこの買戻しの請求権を制限してはならないとしています。あなたがマンションの引き渡しを受けられた時期が不明ですが、恐らくまだ2年は経っていないことでしょうから、その雨漏り補修が簡単に補修出来ない場合には契約の目的が達せられないと見られますので、業者が買い戻しを拒むのは不当だということとなります。応じなければ訴訟などの法的手続きを取れます。従って契約の目的が達せられない程度の雨漏りかどうかを判断するためにも、雨漏り原因の正確で技術的な情報が必要となるのです。

(昭和59年6月21日)

≪住まいの相談 Q&A その34≫

【朝日新聞『みんなの暮らし』欄〔大阪本社版〕に
昭和55年7月より40回にわたり連載】

カビに悩まされる新築住宅
 2年前に家を新築しました。しばらくして部屋の隅のタンスの中のコート類にカビが生えているのに気付きました。タンスを移動したら、タンスの後ろの壁もカビだらけでした。そこで換気に注意して、在宅の時は出来るだけ窓を開け、冬もガスストーブは避け、梅雨時分はクーラーをつけっぱなしにしているのにカビが治り間せん。新築の時からカビが生えているのだから、業者に塗り替えてほしいと頼んだのですが、費用は私達に持てと言います。家は乾燥した硬い山地の竹やぶの前に建っており、日当たりもよいのですが・・・。
結露防ぐ改造必要
 窓を開け放したりなどして室内に湿気がこもらないように心がけておられるようですが、ご質問から推察すると、カビやシミの原因はたぶん結露によるものでしょう。結露というのは部屋の内外に激しい温度差がある場合、室内の暖かい湿気が冷たいガラス戸や壁などに触れると露となる現象です。鉄筋コンクリート造りの場合に限らず、木造や鉄骨造りでも、最近の家は気密性の高い工法ですし、内装材も昔のように木や畳などの吸湿性に富む天然素材が使用されることが少なくなったため、どうしても内壁などに結露が生じやすいのです。
 結露を防ぐにはまず室内の換気を良くすること。そのためには各部屋に2箇所以上の窓を設けるか、換気口を設けるなどして、一日中自然換気がされるようにし、特に大量の湿気が発生する台所や風呂場などには換気扇をつけて強制換気を図ることです。そして戸外の温度がそのまま屋内に影響を与えないよう、家全体を断熱材でおおって外気温の影響を出来るだけ遮断することです。ご質問中の「壁の塗りかえ」という文句から見ると、多分結露している壁はコンクリート壁にモルタル仕上げをしてペンキ塗りがされているだけのものではないでしょうか。そうだとしたら外気温がそのまま内壁に伝わっているわけで、結露を生みやすい状況です。内壁の下地に木組みをして断熱材を挿入するなどの工夫が必要です。また内装材もビニールクロスのような吸湿性に乏しい材料は避けることです。
 日当たりが良く乾燥した環境でも、裏に竹やぶがあればそれに面した部分は日中でもひんやりとして、家の中でも寒暖差があるはずです。クーラーをつけても断熱性の乏しい家ではかえって室内の温度を下げて、夏でも結露をつくりやすいものです。
 おそらく、お宅の場合は設計の段階から結露の防止に配慮がはらわれておらず、結露しやすい条件が重なりあって施工されているのではないでしょうか。内壁の塗り替えだけでなく、第三者の専門家に調べてもらい、抜本的な結露対策を立てられることです。タンスや内壁にカビやシミが出来るほど激しい結露をおこさない家を建てることが新築契約上の当然の条件です。設計や施工にミスがあるのなら、業者はその欠陥をなくすようにするために必要な補修をする責任があり、費用は業者が持つべきだと考えられます。

(昭和59年7月19日)