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欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ学習記事をお届けします。

 

―正す会の窓・・・その97―

あの大津波を引き起こした地震から一ヶ月が経ちましたがいまだ大きな余震が続いています。
又、壊れた原子炉の収束もなかなか先が見えません。政府の対応の遅さが、この地震を天災から人災へと様相を変えてきています。心が痛みます。
控えめで心優しい人々の住む北国に、一日も早く本当の春が来るよう願ってやみません。

(平 23・4・11)

★今回の住まいの相談Q&Aはその35と36をご紹介します。

≪住まいの相談 Q&A その35≫

【朝日新聞『みんなの暮らし』欄〔大阪本社版〕に
昭和55年7月より40回にわたり連載】

建て売り住宅の欠陥
 2年前に建て売り木造住宅を購入しました。1年ほど前からキッチンと洗面所に面している床が歩くたびに床鳴りし、見れば5〜6ミリぐらい上下するので業者に直してもらいました。業者は「木がやせるからだ」と言っていました。しかし、最近2階の床が同じように鳴り、また洗面所の給水口から水が漏れています。建て売りならこんなものでしょうか。補修や保証期間はどうなっているのでしょうか。
倍賞請求も出来る
 床鳴りや水漏れは居住者に不快感を与えるもので、建て売り住宅といえども新築住宅としての一般的性能要件に欠けるものとして、当然業者には保証の責任があると言えます。
 床下の構造は説明図のようになっています。束を支える束石(つかいし)の下の地盤があらかじめ砂利などで突き固められていないと、人間の歩行などによって束石が沈下しやすく、その結果、束や大引きが下がることによって床板を支える横材の根太(ねだ)も下がって、床板と根太を接合するために打たれている釘(くぎ)が摩擦音を出すのが床鳴りです。かりに木が乾燥しても床板が5oも上下することはなく、あなたをあきらめさせようとする業者の言い訳でしょう。
 床鳴りはこのように、通常は束石底部の地盤補強がないことから生じますが、これに根太に打たれている釘の大小や、根太の太さ(通常は4.5p角または5.5p×6p角)や間隔(通常は45p)、または根太を支える大引きの太さ(通常は9p角)や間隔(通常は90p)などにも関係があります。細い根太や大引きが広い間隔で施工されている床も歩行によって沈みやすく床鳴りもしやすいわけです。2階の床鳴りも根太、大引きの太さや間隔及び根太に打たれている釘の大小などが原因ではないでしょうか。
 水漏れの件は、水栓器具の取り付け下地が板等で補強されておらず、水栓器具の固定が不十分なため、給水管との継ぎ手がゆるんで水漏れするようになってきていると推察されます。
 補修の件ですが、もし業者が任意に応じないのなら民法570条で、買った時に判らなかった欠陥があれば、発見した時から1年以内は損害賠償の請求が出来ると定めていますので、他の業者に補修させその代金を倍賞金として請求することです。建て売りだからといってあきらめることはありません。ご質問の欠陥からみて、かなり粗雑な新築施工と思えますので、この際第三者の建築士に建物全体にわたって欠陥があるか調べてもらい、もしあるのなら一括して業者に補修または倍賞請求されたらよろしいでしょう。

(昭和59年9月6日)

≪住まいの相談 Q&A その36≫

【朝日新聞『みんなの暮らし』欄〔大阪本社版〕に
昭和55年7月より40回にわたり連載】

雪に弱い瓦
 57年6月に建売木造住宅を購入しました。ところが今年の冬の大雪の時、屋根瓦(かわら)が一面に割れ、下葺(ぶき)の土がこぼれ落ち、雨が降るたび樋(とい)まで流れ出る始末です。雨漏りになったら困るので業者に補修を頼んだのですが「大雪だから仕方がない」と取り合ってくれません。業者には責任がないのでしょうか。当地はもともと寒冷地ですし、同じ業者が建てた近所の屋根瓦も、程度の差はありますが同じような状況です。
耐寒用を使う必要
 ご質問の瓦の割れは凍害によるものでしょう。瓦(粘土瓦)はその製法によって吸水率が異なり、吸水率の大きいものほど瓦に吸収された水分が冷気によって凍結して膨張し、その結果割れが生じやすいのです。
 瓦の製法(焼きあげ方)によって、日本工業規格は瓦を釉薬(ゆうやく)瓦(塩焼き瓦を含む)といぶし瓦とに分類しています。釉薬瓦は材料を成形して乾燥したものにうわ薬を塗布したもので、うわ薬に塩を用いたものが塩焼き瓦です。瓦の表面にガラス質の塗膜を生じさせ、吸水率を少なくしたものです。いぶし瓦は焼き上げの最後に松葉を焚き表面を黒色にしただけのものです。いぶし瓦は吸水率が大きく、とくに耐寒瓦として良い粘土を選び、これを慎重に練り混ぜ無理なく成形し、十分に焼結するまで焼き上げたものでない限り、寒冷地では凍害を起こし、割れやすいのです。
 従って寒冷地では普通のいぶし瓦を用いないのが通例です。釉薬瓦や耐寒瓦のいぶし瓦は製法が複雑なことから高価となるため、多分あなたの家には普通のいぶし瓦が使われているのではないでしょうか。また屋根勾配がゆるく、瓦の重ねが甘かったりして雨水などが瓦の間に入りやすいときなども凍害を招きやすくなります。専門家に調査してもらって、原因を技術的にはっきりさせることです。
 寒冷地では瓦の凍害を考慮し、相当な瓦を選ぶことは当然のことです。建て売りだから安価な凍害を起こしやすい瓦でもよいということにはなりません。雨露をしのぐということは家として最低の性能要件です。もしこの配慮が欠けているのなら業者には当然この欠陥を保証する責任があります。
 業者が任意補修に応じないとすれば、専門家の助言に従って瓦の取り替えを含め相当な補修を他の業者に依頼され、その代金を損害金として請求することです。民法570条は売買されたものに契約当初わからなかった欠陥があった時には、発見してから1年以内は損害賠償の請求が出来るとしています。1年という制限がありますので、内容証明郵便で責任を取るよう請求しておかれたらと思います。

(昭和59年10月18日)