トップページ  
 
本会設立の趣旨  
 
本会の活動方針  
 
入会のご案内  
   
主な行事  
 
例会のご案内  
 
活動実績  
 
会の組織  
 
お知らせ  
 
正す会のバックナンバー  
 
道しるべバックナンバー  
 
お知らせ・その他バックナンバー  
 
*****欠陥住宅対策の道しるべ*****
   
   
   
 

(その3) 構造クラックと収縮クラック
     ―― ひび割れは構造欠陥発見の端緒 ――

   
 

 新築住宅の外壁などにひび割れが出来ると不安になる。


 そこで業者に手抜きがあるのではないかとたずねると、大抵の場合
    『これは収縮クラックで心配がない』  と こともなげに答えコーキング材を充填して帰っていく。 しかしまた3月、半年と経つうちに同じ箇所にひび割れが出来、業者に言えば前回同様心配は要らないとしてコーキング材の充填を繰り返す。


 これが3月や半年を置いて更に繰り返されると、さすがに人のよい消費者も建物が弱いからだと思い、どこかが手抜きされているのではないかと不安に駆られて専門家に調査を頼む。


 その結果木造住宅であれば筋交いや基礎の手抜きなどの構造欠陥が発見されることが多い。 クラック即ち亀裂が建物に起こる原因によって通常は“ヘアークラック(収縮クラック)”“構造クラック”とに分類している。 確かに外壁に使われるモルタルはその材料の特性から日射などによって乾燥収縮しやすく、それによりクラックが生じる場合も多い。 通常そのひび割れの幅も微細でしかもそれほどの長さにはわたらず、ちょうど髪の毛のような形状をしているところからヘアークラックと呼ばれている。 これはもうそれ以上モルタルが収縮しないような状況であれば簡単なコーキング充填で収まっていく。 しかしその亀裂の幅が数ミリにわたるような場合は、主として家そのものの構造の脆弱性から荷重によって生じるもので構造クラックといわれている。


 このような場合には家の構造をチェックする必要がある。 水平外力を受け持つ筋交いなど構造部材が手抜きされていたりして家が揺れやすかったり、基礎の手抜きによって不当沈下していることが発見されたりする。 この場合には根本原因の手抜きを補修しない限り抜本的な対策とはならない。


 収縮クラックの場合は、補修費用や手間も少なくて済むので業者も補修に応じるが、何度もコーキング補修をしても埒が明かない場合は業者も思い当たるところがあるのか、または構造欠陥によるものと推測してか、もし抜本補修ともなれば時として内外装を取り払い裸の骨組みの状況にしなければ構造欠陥の補修は出来ないので、其の経費高を恐れてお茶を濁し補修をしなくなるのであろう。 従ってコーキング程度では再発を繰り返すひび割れには注意すべきである。


 ただし、構造の手抜きがあるすべての場合に外壁にクラックが出来るのではなく、ひび割れひとつ傾きひとつない場合にも基礎や骨組みなどの構造手抜きがある場合も多い。
従って“ひび割れ”ひとつなくても、新築時や買受時には建築士の構造チェックを依頼すべきである。


新築時に消費者が依頼した建築士が工事チェックを(監理)をしていない限りは、新築後改めて建築士に念のため構造チェックを受けることをお勧めする。

 

筋交いなどの安全基準は震度7、風速60メートルなどのような、法律で耐え得るべきことを要求している強さの荷重や外力に耐えるための基準であるので、その手抜きをしていてもこの法定の強さの荷重や外力を経験しない限りは構造の手抜きが構造クラックなどの欠陥現象として必ずしも現れることがないからである。
   
  (18・11・30 澤田 和也)
 

目次へ戻る

TOPへ戻る