トップページ  
 
本会設立の趣旨  
 
本会の活動方針  
 
入会のご案内  
   
主な行事  
 
例会のご案内  
 
活動実績  
 
会の組織  
 
お知らせ  
 
正す会のバックナンバー  
 
道しるべバックナンバー  
 
お知らせ・その他バックナンバー  
 
*****欠陥住宅対策の道しるべ*****
   
   
   
 

(その5) 裁判での主張≠ニは?
  

   
 

 よく訴訟の依頼者が裁判でとまどわされるコトバに主張がある。
 法廷で今まで充分いきさつを説明したつもりなのに、裁判官から「主張をもっと特定して下さい。」とか「主張の整理をしたい。」とか言われると、何のことだかわからず怪訝になる。が、しかし事実はこうである。つまり裁判所が求めている主張とは、消費者が裁判で求めている結論(請求の趣旨)を法律に照らし裁判所に言わねばならない最低限の事柄である。
 欠陥住宅訴訟では業者が任意補修しない場合、それを他の業者に修繕させた場合の相当補修費用を損害として賠償請求する。この場合最低限法律上言わねばならないのは、
相手方との間でこれこれの住宅に
    契約日時 何年何月日
    請負代金 金○○○円也
    完成引渡し日 何年何月日
とまず請負契約を交わしたことを述べるとともに、
    何年何月日に上建物の引渡しを受けたが、何年何月日頃より戸障子がしまりにく
    くなる等の不具合が生じ、たびたび調整をしてもらったがますます悪くなる一
    方なので専門家に調査してもらったところ、敷地は軟弱地盤であり設計上は相当
    配筋を持つベタ基礎を作らなければならないのにその配筋を手抜きし、又ベタ基
    礎底盤の厚さも○○センチあるべきところを××センチに手抜きしていることが
    わかった。そこで設計図書通りの基礎にするためにはこれこれの方法によらざる
    を得ずその相当工費は××円であるので請求の趣旨記載の金額の支払いを求める。
というように請求の趣旨を最低限理由付ける理由事実を請求原因で述べることが裁判で言われている主張である。
 これに反し素人の消費者はどうしてこの請負人を選んだのかとか、又どういう趣旨でこの住宅を注文したかとか、請負人は欠陥のない建物をつくると約束してくれたので自分も契約をしその後代金は約束通りにきっちり払い工事中は色々と工事人にも気を使ったのに、このような結果になった上、引き渡された後も戸当たりの悪さを単に建具調節の不良などとだまし続けた上に、図面通りの基礎のやり替えについても言を左右について応じず、そのため楽しかるべき家庭も不和の場となり・・・・・・
   ・・・・というように事細かに契約の成立からはじまり、欠陥の発見から現在に至るまでの諸事情を述べようとする。
 これらの経緯のことを訴訟では事情と呼んでいる。しかしこれはあくまでも事情であって訴訟上の主張ではない。消費者は事情を懇切丁寧に申し述べれば裁判所は判ってくれ、それに見合う賠償判決を下してくれると思いがちなので、裁判では事情だけが先行して請求の原因事実がはっきりとせず、裁判所に主張を特定してくれと言われるのである。
 欠陥住宅裁判では、注文から欠陥発見に至るまでの時系列の事情の説明が賠償金額を決めるものではなく、現にその建物に欠陥があるのか、それはどの点か、それは何故欠陥とみられるのかと、現に建物に存する欠陥を主張し相当補修方法と工費を請求原因事実で特定することが大切である。

 欠陥は今現にこの家に有るのか無いのかという物証の問題であり、「聞けば涙の物語」という事情によって賠償金額が決まるものではないのである。
   
  (19.1.20 澤田 和也)
 

目次へ戻る

TOPへ戻る