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*****欠陥住宅対策の道しるべ*****
   
   
 

(その7) 手抜きをしたのは誰か
       ―― 半値8掛け2割引のヒ・ミ・ツ ――

  

   
 

 『一生に一度のお買い物』に欠陥があれば憤るのは当然である。
あれだけ「ご安心いただけるお住まいにします。」とか「当社はいつもお客さまにご満足いただいております。アフターサービスも充分しております。」とか「丈夫で長持ち、基礎と骨組みは当社の自慢です。」など、歯の浮くような言葉を素直に真に受けて頼んだ建物が半年1年と経つにつれ戸障子が閉めにくくなり、やがて裏庭に陥没箇所が出来てくる時分には床を歩くだけで不等沈下がわかるようになり、憤りも頂点に達する。
 業者に補修を頼んでも「行く・行く」といってはなかなか来ず、当主がいぬまにコソコソとやってきて襖の耳を削ったりする程度の手抜き補修でお茶を濁して帰ってく。やがて家の傾きがわかるようになり、建築士に調べてもらった結果から地盤補強や基礎の手抜きを業者に指摘して、やり直し補修を求めてからはいくら電話をかけてもてもやって来ず、補修交渉もままならなくなるともはや堪忍袋の緒は切れる。
 そして注文した業者を手抜き業者と決めつけ、怨嗟の対象にする。たいていの消費者はこの手抜きをしたのは注文した業者そのものであると思い糾弾の対象にする。
 しかし、これは今の住宅の生産システムが住宅会社から一次下請け店、さらに二次下請け店から個別職方の孫請けへと数次の下請けに出されて、注文を受けた者と実際に施工する者とがバラバラになっている事実を知らないからである。
 現実の手抜き施工は、末端の孫請け工務店または個別職方がしているのである。
何故手抜きがされるのであろうか。個人的な能力や道徳レベルの差もあろうが、根本は末端の施工者が『相当な代価』を得にくいからである。
 巷間では末端価格は『半値8掛け2割引き』ともいわれている。もしそうだとしたら注文価格3000万円の家が末端では960万円で造られていることになる。これでは経費にも事欠く始末になるところから、末端では材料と手間を手抜きせざるを得なくなる。もっとも末端の下請にしてみれば無理な出し値に見合う仕事をしているだけのつもりで、手抜きと言われれば心外だと開き直るであろう。
 このように実際に手抜きをする者は末端の施工者ではであるが、建設業法ではこのような無理を防ぐため、元請業者に一括下請けに出すことを禁じているが(同法22条)、大抵は設備などごく限られた特殊部分だけをその専門下請けにさせて、他のほとんどの施工は特約店と称する一括下請け業者に出している。また同法は元請業者に施工技術確保義務を課し(同法25条の25)、各工事現場に有資格の技術者を主任技術者として置き、下請けの施工の管理や指導にあたらせることにしている(同法26条)。
 が、しかし住宅施工の現状はこの元請(住宅会社)は現場管理までも下請け業者にさせ、全くの丸投げ施工をさせている場合も多い。
 このように見てくれば手抜きが生まれるのも無理な下請への出し値とあいまって元請業者の現場管理の手抜きによるものとも考えられ、実際の手抜き行為は末端がしていても元請の管理の手抜きによってこれが発生するものとも見られるのである。
 したがって消費者が手抜きの怒りを注文した住宅会社(元請け)に向けるのももっともとも言える。

   
  (19・1・26 澤田 和也)
 

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