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*****欠陥住宅対策の道しるべ*****
   
   
 

(その11)  補修がよいか賠償金をもらうのがよいか

――瑕疵担保責任のお得な選択――

欠陥住宅を正す会        
代表幹事 弁護士 澤田 和也

   
 

売買の場合でも請負の場合でも入手した住宅に欠陥があれば業者は瑕疵担保責任を負い(民法570条/634条)、消費者は業者に対して欠陥の修繕か又は損害賠償の請求が出来る。

さて、「このいずれの選択が消費者に有利か」については特に論じた書物は見当たらない。欠陥と言っても仕上げの色むらや汚れ、内装材の材質違い、造作材のゆがみ、湯沸し器の不良など、美匠や仕上げや設備の欠陥については業者に補修させるのが時間の点から言っても得策であろう。しかし構造躯体や基礎や地盤の欠陥や、雨漏りなどの大幅な修繕が要ったり、補修方法が中々確定しにくい欠陥などについては必ずしも注文した業者に補修させるのが得策であるとはいえない。これらの欠陥の補修は、抜本的に原因を正して完全な補修をしようとすれば大変な手間と時間がかかる。当然補修費用もかさむ。

消費者は業者が補修するのは当然だし、注文を受けた業者自身が補修するように思っているが、今の住宅の生産システムは注文を受けた住宅会社が実際の施工を一括下請け、二次下請け、さらには孫請けから曾孫請けにと施工を流すいわゆる重畳的下請けシステムをとっている。補修もまた請負業者はその欠陥原因を発生させたと見られる下請け業者らにさせるのである。“業者に補修を頼んでもなかなかしてくれない”とか“いつでも不完全な補修しかしてくれずかえって補修で家を損じた”という苦情もよく聞くところである。これには原因がある。それは下請けや曾孫請けをする末端業者は請負代金をたたかれ、経費を出すのがやっとのことだという状況に追い込まれていることだ。

そもそも、このギリギリのしがない儲けが手抜き発生の原因になっているのに、補修の場合は当然元請業者から補修代金が出ることはなく、全くの自腹で処理しなければならない。ギリギリにしろ金を貰っていても手抜きをした者が、全くの自己負担で補修するのであるから、なおのこと手抜きの誘惑にかられ、あるいは補修を引き伸ばしたくなるのは当然のことであろう。補修をすれば“かえって悪くなる”と言われるのもむべなるかなである。

コのように考えれば、なかなか止まらない雨漏りや家の傾きなどが見られる地盤補強や基礎や構造躯体の欠陥などの場合には、消費者自身が別の業者に頼んで完全補修をしてもらう場合の修繕費用を建築士に見積もってもらい、これを元請業者に請求する、つまり損害賠償を求めるのが得策である。この場合元請は全額修繕費を消費者に支払わなければならないからである。そしてその賠償金が相当な金額である限り補修を頼まれる他の業者にも金額面の少なさから来る手抜きへの誘惑は弱まるからである。これで業者が現実の補修をしたがり、賠償金の支払いを拒む理由もご理解いただけたことであろう。

   
  (平成19・11・25 澤田 和也)
 

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