欠陥住宅は無くならないもので次から次へと被害者の方が来会されるのですが、その新人に共通するのは“欠陥被害体験が初めてである。補修をしてくれない業者にどのように対処したらいいか。”ということですが、ほぼ共通してご認識をいただかなければならないことに、欠陥原因・欠陥現象・誰の費用で欠陥調査をすべきかという論点があります。
そこで今回から入門編としてそのような対処法についての出発点となる心得について
『Q&A』の形でご解説いたします。
(平22・2・1)
欠陥調査の費用負担者は?
- <<Question>>
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雨漏りがしたり、床に傾きがあるなどいろいろと不審な点があるので業者にその補修を頼んでいます。雨漏りについては一部窓回りコーキングを忘れたことや、床の傾きについては根太や大引きなどの下地施工の不良で業者側で補修費用を負担するというのですが、今までの業者の態度からみて何かを隠しているような得心の行かない気持ちなのです。
そこで業者以外の建築士さんに欠陥原因の調査を頼もうと思うのですが、業者はそれでは調査費用が負担出来ないというので困っています。私は業者が調査費用を負担して当然だと思うのですが・・・・・。
(茨木・主婦・36才)
- <<Answer>>
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全く手直しがいらない新築住宅などは通常はあり得ません。完成引渡し入居後、半年から一年は手直しが続くこともまれではありません。当然当初は設計または施工した業者に欠陥の状況(欠陥現象)を伝え相当補修を頼むことになるのです。しかし隠された欠陥(現象)があった場合それだけでは解決できず、誰か第三者の専門家にという話になるのです。
残念なことですが日本における補修交渉は単なる仕上げや内装だけの問題であればその補修費用も少額で済み、業者との交渉で比較的早く補修され解決するものです。しかし何度も何度も補修しても止まらない雨漏りなどの場合には状況は一変します。
全てがこうだとは言い切れませんが、仕上げの欠陥については内装材を取り替えても補修費用は比較的少額で済むところから、話し合いで解決されることが多いのですが、いくら補修しても止まらない雨漏りとか、すぐに目地が切れてくるような欠陥の場合はいくら補修をしても欠陥現象は止まらず消費者からの苦情もなくならないことが多いのです。
簡単にその原因を言えば、欠陥補修のためにはその欠陥を生んだ原因を辿り正しく根本原因を突き止めた上で相当な補修計画を立てて正しい補修に入るべきなのですが、雨漏りのような対候性の欠陥の場合でもその原因が構造や下地の欠陥に由来する場合には、構造や下地からの補修では工費が高くつくので業者は上辺だけの欠陥補修だけで終わらせようとするのです。
欠陥の正しい調査は設計施工した業者では限界があります。むしろその業者とは無関係な第三者の建築士に客観的に欠陥原因を調べてもらい、その原因を無くす相当な補修を求めるべきなのですが、業者にこれを求め正しい答えを得ることが出来るのはほとんど不可能なことで、欠陥調査は第三者の建築士さんに三者的に調べてもらうのが涵養です。
そこで当然費用も究極的な紛争解決の時には業者に負担させても、とりあえずは被害者であるあなたが負担し、客観的で公正な調査をお願いし、客観的な欠陥原因を確かめることが正しい相当な補修に結びつくわけです。
中には業者がこの調査費用を負担すべきだと主張する被害者もおられますが、それでは結局は不審の念は拭いきれないでしょう。
正しい欠陥調査はとりあえずはあなたの費用負担でするべきです。
(平22・2・1 澤田和也)
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