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平成19年欠陥住宅を正す会消費者シンポジュウム共同討議資料
マンションの欠陥についての
                        損害賠償の法律関係

欠陥住宅を正す会                 
専門委員 中井 洋恵(弁護士)

1.共用部分と専有部分の区別
(※共用部分か専有部分かで請求者が異なる。)
(1) 専有部分(法2条3項)

独立して住居などとして利用できる部分
専有部分の要件
@ イ 構造上の独立性
一棟の建物で、建物の構造上、壁や床、天井、扉などによって他の部分と明確に区分できること。
ロ 利用上の独立性
独立して住居、店舗、事務所または倉庫など建物として利用できること。

A 建物の付属物(専有部分に付属する設備等)
B 付属の建物(倉庫、ガレージ等)
(2) 共用部分(法2条4項)
@ 専有部分以外の建物の部分
法定共用部分(数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分。 法4条1項)
規約共用部分(法4条2項)
A 専有部分の中にない建物の附属物
法定共用部分
規約共用部分(法4条1項)
B 管理規約によって共用部分と定められた
     付属の建物

2.具体例
共外壁、屋根、屋上部分
共マンションの出入口、廊下、階段室、
エレベーター、ロビー
共バルコニー、ベランダ、ルーフテラス

最高裁昭和50年4月10日 非常用通路としての機能、躯体である。
規約で専用使用権を設定
共集会所、管理事務室、管理人室・・・規約共用部
倉庫、車庫・・・管理規約で決まる。
区画部分(壁、柱、床、天井) 争いあり 共 壁心、躯体、
専上塗り
Q 断熱材は?防音材はどうか。
給排水管共主管、
専専用部分内にある専用部分のための枝管
玄関扉   規約( 錠、内部塗装部分のみ)
窓枠、窓ガラス   規約共
3.補修行為
(1) 専用部分の補修
当該区分所有者の責任と費用で可
他の区分所有者の共同の利益に反しない限度(法6条1項)
補修工事をするために共用部分や他の区分所有者の専有部分を使用することができる(法6条2項)。
使用によって損害を与えた場合には償金を支払わなければならない(同条但書)。
  (2)共有部分の補修
    条文 具体例 補修ができる条件
保存行為 現状を維持するための必要最小限の行為 18条1項
但書
玄関や階段の欠損の修理、エレベーター等の定期点検、廊下・敷地等汚損の清掃 管理組合の理事長、各区分所有者も可
管理行為 通常の管理と言える補修行為 18条1項
本文
外壁のクラック部分の樹脂注入による補修や塗装の塗り替え、エレベーターの修理 総会で普通決議(区分所有者及び議決権の過半数の賛成による普通決議)
変更 著しく多額の費用を要しないもの 17条1項
括弧書
 
その形状または効用を著しく変えること 17条1項 共用部分の階段室を機械室に改造、外壁全体のタイルノ貼り替え、エレベーターの給排水設備の新機種導入、敷地に駐車場を新設  大規模修繕 総会で特別決議(区分所有者及び議決権の4分の3以上の多数)
規約で区分所有者の定数を過半数にまで減ずることが可(同条但書)

4.欠陥があったときの請求方法

(1) 請求者
専有部分・・・区分所有者
Q  共用部分・・・管理組合ができるか?
平成14年改正 法26条2項で「管理者は共用部分等 について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領について区分所有者を代理する。」規定の新設で、管理者(理事長)が原告となることが可能になっ た。
但し、規約もしくは集会の決議が必要(26条4項)
★ 従って、共有部分に欠陥が見つかったとき
の損害賠償請求は管理組合の理事長
が行う。
Q 共用部分の補修に関する損害賠償を区分所有者
個人でできるか。
〜管理組合が協力してくれない。〜
@ 保存行為として可能か(18条1項但書)
現状維持行為の範囲に入らないのではないか。
A 専有部分の修理のための使用と構成できない
か(6条2項)
共用部分を変更する行為は難しいのではないか。
B 共有持分割合の請求
(法務省民事局参事官吉田徹編著「一問一答・改正マンション法」)
但し、管理者がすでに損害賠償請求訴訟を提起した場
合・・・各区分所有者は別に訴訟を提起できなくなる。

〔判例に現れた構成〕

@ 建物の価値の減価(福岡地裁平成3年12月26日。
防音性能不足 下落額に証拠がない棄却、福岡高裁平成18年2月9日 外壁の落下。但し補修済み 最大247万2089円の損害賠償を認めた。)
A 慰謝料(上記福岡地裁判決25万円)
B 解除
売買の目的を達成できない場合
区分所有者個人で調査や補修は困難
⇒ 解除を広く認めてはどうか。少なくとも、
立証責任は転換すべきではないか。
区分所有者が不具合事象を主張
⇒ 業者が適正な施工を行ったことや、
その不具合の原因が別にあることを立証すべきではないか。
〔契約解除を認めた判決〕
・大阪高裁平成11年9月17日
眺望を宣伝文句に売却したマンション完成後に
眺望が妨げられていることが判明したケース
・東京地裁平成17年12月5日
シックハウス
JAS基準を満たしている旨の宣伝
契約の解除を認めた。
※ 調査費用を管理組合や他の区分所有者に
請求できるか、立て替えられる資力があるか。

(2) 相手方
  新築 中古

法律構成 よくある問題点 法律構成 よくある問題点
売主
(新築−業者)
(中古−消費者)

@ 契約上の責任(瑕疵担保、債務不履行)
A 不法行為

@ 時効(品確法の適用、特約の有効性・適用範囲、請求の有無)
A 過失の有無

@ 契約上の責任(瑕疵担保、債務不履行)
A 不法行為

@ 時効(特約の有効性・適用範囲、請求の有無)
A 消費者に過失があるか。

施工業者

@ 不法行為
A 売主が倒産していた場合−債権者代位権による瑕疵担保責任

@ 過失の有無
A 瑕疵担保責任の時効

不法行為 過失の有無

設計者
工事監理者

不法行為 過失の有無 不法行為 過失の有無
仲介業者 債務不履行 仲介は余りない 債務不履行

欠陥を知っていたか。
知らなかったことにつき、過失・重過失も責任を負うか。


(19・5・1)