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〔正す会通信・・・その45〕

的が外れている裁判所の建築専門部


 平成13年に東京・大阪各裁判所に建築事件を扱う専門部が大方の期待を担って発足した。 激増する欠陥住宅事件は、専門部による一定の処理パターンによって能率的に行われているように報じられている。 しかし、新たな弊害が目だってきている。

 

そのひとつには、調停委員や専門委員に登用される建築士の質の問題がある。どのような登用基準によるのか、なかには法令や諸基準による客観的欠陥判断を裁判官に助言してくれる優れた人もいるが、「まあ これくらいならもつでしょう」式の実務経験に基づく判断基準や事実上の安全性論で業界の手抜き慣習を是認しそれを消費者に強要する人も多い。 本来であれば、裁判所は法律上の安全性を議論すべき場であり、欠陥判断は法令や諸基準を基本とすべきでまた、相当補修方法は契約の原点である設計図書への回復を実現するものでなくてはならない。 調停は法令基準で判断された欠陥を除去するための相当費用を前提に、その金額の負担を当事者に譲り合わせる場であるべき筈なのに、ともすると業者基準による事実上の安全性補修は補って足りるとの恩恵方式を押し付け、有無をいわさず被害者に譲らせるケースもよくみられる。また、調停主任裁判官も事件処理を急ぐあまり、このような安易な調停委員の言に耳を傾けがちである。 専門部発足の初心にかえって、専門家調停委員の技術的知見をかりて困難な技術案件を適正に解決するとの原点に立ち戻ってほしい。 そして、当事者が調停不成立を求めたら直ちに訴訟手続へ戻らせるべきは当然である。 現状往々にしてみられる職権主義的調停強行主義は、当事者主義をたてまえとする民事手続とは相容れないものである。  (18・8・8澤田和也)