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中国行きのフェリーボート(連載第18回洛陽編-3-)

5.2 龍門石窟

 

 龍門石窟は洛陽市郊外にあり、荒涼とした断崖絶壁に急にあらわれる巨大仏教彫刻群である。まずは、その中のいくつかの大仏彫刻の大きさに圧倒される。また標準的な人の背丈ぐらいの仏像ならば数えきれない程であるため、これまたその多さに驚かされる。しかし、その感動に至るまではやはり中国としかいわざるを得ない。まずは予算の少ない私にはタクシーなどはもっての他で市内バスで龍門石窟まで向かう。しかし、タクシーと異なりバスは身動きとれない程のぎゅうぎゅう詰め、さらに一部の乗客のバラエティーにとんだ荷物、またそこから発する独特の臭い。心を洗われるような立派な遺跡を見る前に心は十分荒んでしまう。話が少し逸れるが旅行中に出くわす中国人の荷物の多さに感心することが多々あった。この市内バス以外にもあらゆる市内交通、長距離交通手段において必ず荷物の極端に多い人を見かけることが少なくなかった。中国ではいくら改革解放政策で経済水準があがったとしても、そこには現時点での国力が歴然として存在しているから限界がある。例えば流通。日本では小売店において仕入れをして店鋪で売る場合、仕入れ先から自分の店鋪までは買い付けは自分で行っても大量の商品をせいぜい自分の車で運ぶ。あるいは既存の運送業者に頼むなどするであろう。しかし、中国ではそれはコストが掛かり過ぎるため、買い付けた商品は自分で担ぎ、短距離であろうと長距離であろうとできるだけ安くするため、既存の公共交通手段で自分で運ぶのである。それゆえ貨物車両、トラックだけでなく列車、バスなど客車が実は物流の根幹をになっているのではないかと考えるのは私だけだろうか。今まで旅行中に大量の荷物を見て驚いた。その一部を紹介すると、まずは肉魚野菜などの食料品、特に足を縛った籠にも入っていない羽をバタバタしているにわとりなどは驚くに足らず、はては日曜雑貨、機械部品などありとあらゆる荷物を恐ろしく大量に運んでいる人々目撃した。もちろんその運び手は女性も少なくなく運ぶのが大変だろうな、あんなに苦労してどれだけ儲かるのだろう?と考えることが出来る時は心にゆとりがある証拠で、疲労が重なっている時は頼むから早く降りてくれとか、助けてくれと思ったことも多々あった。

 話をもとに戻すと市内から龍門石窟行きのバスは精神的に「助けてくれ」状態になり、龍門石窟に着いた時はさあこれから見るぞ!といった状態ではなく、とりあえずほっとしたといったところだ。しかし、疲れているからといって最低限の注意力は保っていて切符売り場にいってもちゃんと外国人料金と人民料金があるのを確認して、人民料金の分の切符代を払う。服務員は疑いの眼で私を睨むが、何くわぬ顔をして切符をもらい中に入る。中に入ると昨日の岡山の友好親善ジジババが大挙して既に龍門石窟を占拠していた。本来写真撮影不可なのに洛陽市が招待した関係かジジババのパワーがそうさせるのか定かではないがどさくさにまぎれて私も写真を撮ることが出来た。龍門石窟は素晴らしかった。バスの疲れがここへきて取れ晴々とした気分になる。その後関林という三国志で有名な関羽にちなんだ祠に行き、関羽が生前使っていた刀(たぶんいい加減なレプリカ)を展示してあり、観光客が持ち上げてみることができる。かなり重かった。その後植物園に行き、珍しく順調に北京行きの切符が手に入ったので硬臥で北京へ向かうことになる。


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