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欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ学習記事をお届けします。

 

―正す会の窓・・・その103―

お正月の行事やバーゲンセールに心奪われているうちに、もう2月になりました。
新年のご挨拶が遅くなりましたが
皆様方はどのようなお正月を過ごされましたでしょうか。
昨年の震災以来、暗くて悲観的な話題が多くなっていますが 当会は今年も明るく、柔軟に、そして悪徳な加害者には厳しく、 当会らしい運営を行ってまいります。

(平 24・2・1)

★震災以来、消費者も見た目や間取りより基礎や地盤に関心を持つようになりました。
今回は、以前、当会にご相談のあったケースをご紹介します。

===不完全な基礎による建物の不等沈下で係争中===

―Question―

―新築設計を請けた建築士にその敷地地盤についての配慮義務があるか―

 損害についてお尋ねしたいのですが、私は6年まえに海岸寄りの埋立地に家を建ててもらったのですが、眺めを良くしたいのと台風時などの波しぶきを避けるため、従来埋立地に約2メートルの盛土をしてもらいました。ところが残念なことにこの盛土や埋立地であることに留意せず、漫然と普通基礎で瓦葺2階建のやや重い家を建てたために家が不等沈下して困っています。裁判中ですが建築士さんの調査鑑定によると、この盛土と以前から現場にあった擁壁も相当な基礎を持っていないためいつ倒壊するかもわからない状態なのだそうです。この擁壁を相当なものにする修繕費まで相手方に支払ってもらえるのでしょうか。

―Answer―

―家の新築設計契約には基礎やその前提の敷地地盤の調査義務が当然含まれている―

 お話しによれば地盤に見合わない不相当な基礎、つまり建物荷重を支えるに足りるだけの地盤基礎や杭基礎を含む相当な地盤に立脚する基礎構造に設計施工されていなかったのですから、設計も施工も同一業者に頼んでいたとしたら、相当な地盤補強をしたり、あるいは相当な支持地盤に立脚する基礎にやりかえるための修繕代は、当然業者がすべきであったことをし直すわけで、あなたの損害になるのは勿論です。ただ擁壁の件に関しては、もしその擁璧があなたの新築契約以前に造られすでに埋め立てされていた状態だとすれば、もとの契約には擁壁新設は見込まれていないので、果たしてその相当擁壁にやり直す代金まで請求できるかについては疑問が残ります。
 というのは欠陥住宅での損害賠償は欠陥と相当因果関係にある損害についてだけ賠償を求めることができるというのが通説判例です。もしあなたの家の新築のために地盤補強が必要になりそのため土圧が従来擁壁では支えきれなくなったのだとしたら、当然新築を設計施工した業者に地盤補強による擁壁への土圧の増加による擁壁補強又は擁壁の造り替えを設計施工すべきであったといえるのですが、仮にそうだとしてももし元の契約で土圧増加に伴う擁壁の作り変えが見積もられず、それが建物の請負代金に入っていないとするならば、その費用は貴方が擁壁補強代金を支払っていないので損害には入らないと見る考え方が通説的な見解です。
 もっとも新築設計施工義務を拡大して、この擁壁補強代金を見積もらなかったこと自体も業者の過失だと見れば、建物の取り壊し建て替え代金と共に地盤補強及び擁壁の補強もしくはやり替え代金も損害になるという考え方もあります。
 ここでは一般論でお答えしているだけですので、実際の新築の住宅設計施工の依頼の内容がどのようなものであったかを更に詳しく検討する必要があると言えます。
 いずれにせよ損害賠償における相当因果関係をどのように解釈するかは難しい問題で、その相当性をどのように考えるかによって違った結論が出てくる可能性があります。

(平成24・2・1)