blueball.gif (1613 バイト)  三侠五義  blueball.gif (1613 バイト)


3 陥空島の決戦


さて、しばらくは平穏な日々が続いたが、ある日包拯のもとに一通の書状が投げ込まれた。それは何と白玉堂の挑戦状であった。その内容は「三宝(国の宝。具体的にどんな物かは不明。)は私が預かった。返して欲しければ展昭に、陥空島まで取りに来させろ。」というものであった。包拯は驚いて、従者の包興三宝を納めた蔵を見に行かせたがあとの祭り。既に三宝は盗まれてしまっていた。

包拯が一同にこの事を知らせると、展昭は自分が陥空島まで行くと言って聞かない。しかし蒋平陥空島の地理が険しい上に、白玉堂が罠を張っているに違いないと反対。そして行方しれずになっている義兄の韓彰を探し出し、彼の協力を得た上で白玉堂に対した方が良いと提案した。包拯も彼の提案に賛成し、取り敢えず蒋平張竜・趙虎韓彰の捜索を命じたのである。

蒋平は、韓彰が年に一度必ず母親の墓参りに赴くことを知っていた。だからまず、彼の母親の墓がある、平県翠雲峯(すいうんほう)の中腹の霊佑寺に向かった。ところが寺に着いて住職の話を聞いてみると、韓彰は既に墓参りを済まして出立してしまったと言う。蒋平らはあきらめて都へと帰還する。だが実際は、韓彰はまだ霊佑寺に滞在していたのである。住職に、自分を訪ねて来た者がいたらそのように返事をしてくれと言い含めていたのであった。

ところが展昭は、蒋平たちが帰るのを待たず、単身で三宝を取り返すべく陥空島へと赴いたのである。そして白玉堂の居る盧家荘に忍び込んだが、まんまと罠に引っかかって捕らえられ、牢獄に監禁されてしまった。白玉堂展昭を引き立てて来させ、「十日のうちに私から三宝を盗み返せたら、私はあんたに頭を下げた上、望み通りに包拯のもとに出頭してやろう。」と言い出した。展昭もこの挑戦に負けじと「十日のうちにとはご冗談を。三日のうちに三宝を盗み出して見せますよ!」と言い返した。その後展昭は再び牢獄へと閉じこめられたのであった。

はてさて、茉花村丁兆蘭は、人づてに展昭陥空島に捕らわれたことを聞くと、早速白玉堂のもとへ談判に出掛けた。しかし丁兆蘭も同様に捕らえられ、牢獄に閉じこめられてしまう。そこへ見張りにやって来たのは盧方の息子・盧珍。彼は丁兆蘭から手紙を預かると、それを弟・丁兆のもとに届けてやった。丁兆展昭ばかりか兄までもが捕らえられたことを知って困り果てたが、そこへ都から盧方・徐慶・蒋平の兄弟が訪ねてきた。丁兆は三人と綿密に作戦を練り、まず彼一人が盧家荘の牢獄に忍び込んで展昭を助け出した。

助け出された展昭、今度は彼が三宝を盗み返す番である。白玉堂は虫の予感を感じたのか、家僕の白福に命じて三宝を持ってこさせようとする。しかし展昭はその様子を盗み聞きしており、白福から三宝の包みを奪い取る。盧家荘の広間では、白玉堂と取り巻きの柳青、そして囚われの身の丁兆蘭が食事をしていた。そこへ展昭と、彼と合流した徐慶が怒鳴り込む。展昭の手に三宝の包みが有るのを見て驚く白玉堂。更に盧方丁兆までやって来て彼の周りを取り囲む。白玉堂はいきなり徐慶に斬りかかり、徐慶が慌てて飛び退いた隙に包囲を突破し、逃げ始めた。一行はその後を追うが、彼の逃げ足が速くて追いつけない。しかし三宝は取り返したのだし、ともかく一旦茉花村に引き上げることにした。

白玉堂はと言えば、独竜橋から渡し舟に飛び乗り、陥空島から脱出しようとした。しかし渡し舟に乗ったのが運の尽き。舟の船頭は果たして彼の義兄の蒋平であった。蒋平はわざと舟を転覆させ、得意の水泳術をもって白玉堂を引っ捕らえ、茉花村まで連行したのであった。蒋平の奇計にかかったことを知って白玉堂は怒り狂ったが、囚われの身では如何ともしがたく、結局開封府包拯のもとに赴くことを承諾した。一行は兄弟に見送られて開封府へと帰還していった。

白玉堂は、都を騒がせ三宝を盗み出した罪人として包拯の前に引っ立てられて来た。包拯は審問に対して彼が素直に罪を認めたのに満足し、彼を武官として仁宗皇帝に推薦した。仁宗白玉堂の武芸のほどに感心し、彼を展昭らとともに包拯の護衛と補佐の任にあてることにした。その夜、白玉堂展昭や義兄たちと仲直りの杯を交わしたが、ただ一人盧方は「この場に韓彰がおれば…」と嘆く。その様子を見て、蒋平はもう一度韓彰の捜索に赴くことを申し出たのである。

果たして韓彰の行方は?そして南侠双侠に次ぐ第三の侠客・北侠とはいかなる人物なのであろうか?


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