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欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ学習記事をお届けします。

 

―正す会の窓・・・その55―

今回は、前回“正す会の窓・・・その54”でお届けした、
平成20年度のシンポの台本(論文)の後編です。
前回に引き続きご覧ください。

≪その2≫

≪ 正す会30周年記念シンポジウム ≫

欠陥住宅を排除し正す消費者運動は              
           如何にして生まれ如何にして育ってきたか
――運動の30年を回顧し 今後の在り方を見つめる――

欠 陥 住 宅 を 正 す 会
代表幹事 澤田 和也

1、から9、までは前回掲載


10、取り壊し建て替え訴訟

    ―なぜ消費者はこれに固執するのか、
             またこの判例をとりつづけた「正す会」のメンバ―

司会者

欠陥住宅被害者の究極の願いは契約の解除または取り壊し建て替えですが、当時からそうだったのですか。

回答者

 もちろんそうです。何故かと言うと、三者的に見て補修すれば許容できるような欠陥であっても、当の本人にとってはその欠陥があることや補修をしなければならないこと自体が極端に言えば人生の敗北と感じられるからです。サラ金被害など他の金融被害の被害者と欠陥住宅の被害者の違いは顕著です。色んな事情から借金をしなければならなかった人もいるでしょうが、恣な消費欲から手軽に借りられる消費者金融に手を出し、がんじがらめの状態になって人生としても人間としても破滅の状態になりがちなタイプの多い金融被害者と欠陥住宅の被害者は明らかに違います。前者はどちらかというと消費破滅型のタイプの人が多いのに対し、後者は無計画にローンを組むのではなく、一定の人生目標を立てて住宅注文をする人ですから、まじめ勤勉な人が多いのです。その人にとってはその家は夢に描いたものであってこそ、今までの節倹とこれからのローンの返済が報われるのです。しかも住宅価格は高く通常人では一生に一度のお買い物です。継ぎはぎだらけの補修で満足できるはずはなく、疵のない新築であってほしいのです。ですから契約を解除するなり取り壊し建て替えられる賠償金を得るなりする以外、中途半端な賠償金では満足できないというのも当然です。その行き着く先が取り壊し建て替え損請求となるのです。


11、取り壊し建て替え損訴訟の理論構成

   ――獲得のため苦心した適用法条の模索――

司会者

「正す会」でも昭和55/6年から、澤田和也代表幹事を訴訟代理人として他の一級建築士の専門委員の先生方が調査鑑定でこれを援護し、取り壊し建て替え損の訴訟を展開し続々と勝訴判決を得ましたがそれはどのようなものでしたか。

回答者

従来から民法には明文の規定があったわけではないのに、「建物は一旦出来上がれば契約の解除をすることが出来ない」という民法635条などの規定をもとに、大多数の法律実務家は、仮に取り壊し建て替えなければならない欠陥があっても契約の解除ができないのだから、その欠陥を除去するのに必要な取り壊し建て替え代金の請求は勿論出来ないというのが通説でした。

この通説自体がおかしいことは、例えば建基法令に違反する構造欠陥があって、それが建物の柱、梁などの軸組みや基礎や地盤補強などにある場合には建物の所有者はつまり注文者は建基法令上は建物を適法な状態、つまりこの場合には取り壊し建て替えてでも補修しなければならないのに、その当の手抜きをした業者がその取り壊し建て替え代金の賠償支払い義務がなければそのままで良いということとなり、社会的にも倫理的にも極めて奇妙な結果となるのに、大多数の法律家は民法の条文の形式的解釈に固執し続けたのです。

その通説の代表者格であった元大阪高裁での後藤勇判事との論争については代表幹事澤田和也の「欠陥住宅紛争の上手な対処法」に詳述されています。

平成14年9月14日に、この取り壊し建て替え損を認容する最高裁判決が出ましたので、この問題は「正す会」の見解が法律的に認知されたわけです。

が、しかしこのような瑕疵担保責任では取り壊し建て替え損が認められないという空気が強かったので、我々も色々と考えました。一つは民法の瑕疵担保責任による請求はあきらめて、取り壊し建て替え損を含む手抜き欠陥による損害が認められ易い債務不履行責任や、不法行為責任(使用者責任)などの適用を活用してはということも議論し、実は澤田代表幹事が我が国で初めて木造住宅について取り壊し建て替え損賠償を獲得したいわゆる小林判決(大阪地判昭59・12・26 判タ548号181頁)では、従業者建築士の工事監理義務懈怠についての請負人会社の使用者責任、つまり民法715条を適用して獲得したものです。また債務不履行責任を認めさせたものに(大阪地判昭57・5・27判タ477号154頁)があります。またここで今論じている瑕疵担保責任で取り壊し建て替え損害賠償を認めさせたものにいわゆる玉野判決の(大阪高判平元2・17判タ705号185頁)があります。

このように取り壊し建て替え損を認めさせるための適用法条についても色々苦心し、今述べた3つの法条のいずれでも裁判所に認めさせたのは画期的なことで、これら判決によって全国の欠陥住宅被害者を勇気付けた意義は高かったと自負しています。

我々は平成14年の最高裁の判決のさきがけとなった下級審判決を次々と消費者サイドで取り続けたわけです。まさに「さきがけ」の役割を果たしたと思っています。


12、どのようなケースで取り壊し建て替え損が認められるのか
   ――取り壊し建て替えるほか欠陥除去ができないときに限る――

司会者

今取り壊し建て替え損請求のための適用法条のことについてお聞きしましたが、その他請求の内容で工夫・苦心したことがありますか。

回答者

 今回の最高裁判決でも見られるように、要は全ての欠陥住宅に取り壊し建て替え損請求が認められるのではなく、どうしても取り壊し建て替えなければ欠陥の除去、つまり補修が出来ない場合でなければならないのです。このことは当初からそのような考えでやってきました。

先ほど言ったように、建物の骨組みや基礎や地盤補強の欠陥など、どうしても建物を取り壊し建て替えるほかない欠陥の場合にこの請求をしたわけです。ですから当初より構造欠陥、特にその場所に欠陥があるかを調査の重点にしていました。

今となっては4半世紀以前のこととなりましたが、取り壊し建て替え損判決を獲得された会員の小林さんなどが、勝訴後取り壊し新築されたお宅によんでいただいたときの嬉しさは昨日のことのように思い出し、今でも感激いたします。


13、朝日新聞での『住まいの法律相談』

   ――欠陥住宅とその解決の具体的方法を茶の間にも伝える――

司会者

今まで「正す会」の訴訟活動の目標や、その成果を導く工夫なり苦心なりについてお聞きしましたが、訴訟外の活動で世間の耳目をひいたものがありますか。

回答者

あります。

それは昭和55年7月から同60年6月まで朝日新聞関西版の「みんなの暮らし」欄に『住いの法律相談』を40回にわたり連載してもらったことです。従来の啓蒙書または法律実務書では民法の瑕疵担保責任の条文解釈や抽象的な残代金請求と瑕疵との関係などが書かれているだけで、欠陥があれば請求できると書かれていても、どんな欠陥があればどのような手段で補修なり損害賠償請求できるのか、何が欠陥でどうして欠陥なのか、などについて具体的に書かれたものは無かったのです。もっとも書いている法律実務家自体が欠陥の実態や意味や判断基準や相当工費の算定方法などを極端に言えば全然知らなかったわけですから、それら啓蒙書を読んでも民法の教科書の域を出るものではなかったのです。

幸い「正す会」には相談者が途絶えることなく、毎月2回の大阪での例会、1回の東京での例会が続けられてきましたので、我々には欠陥住宅についての設計上や施工上の欠陥または手抜き事例も、法律上の争点についても豊富な資料や情報がありましたので、毎回頻度の高い問題を設問して相談回答をしたのです。その回答集は澤田代表幹事の『欠陥住宅紛争の上手な対処法』に載せられています。

おそらくこの相談回答は、生きた事例を元に何が欠陥か、どうして欠陥なのか、その判断はどのような基準でするのか、それをどう解決するのかという具体的切り口で連載しましたので、識者のみならず一般消費者にも欠陥住宅についての正しい知識や情報を提供できたものと思っております。


14、「正す会」が社会で認知され、被害者救済活動を30年に亘って続けてこられた理由

   ――業者会員や新築紹介はせず個別紛争の解決に徹したから――

司会者

色々と正す会活動の出発点における基本的な問題について伺いましたが、「正す会」が発会以来30年にも亘って、大阪での月2回、東京での月1回の例会を続け、また多くの会員の訴訟活動を支援し続けることが出来たのはどうしてだったかと考えていますか。

回答者

やはり当初から業者会員を認めず、業者の寄付を排除し、たとえ欠陥の無い住い作りだとしても新築業者の紹介や新築業務をせず、業者とは無関係である立場をとり続けたことで消費者の信頼を得たことだと思います。

そしてまた、デモや抗議集会など誤解を招きやすい対外活動をせず、あくまでも個々の会員の個別紛争の解決に力を注ぎ、個別紛争の解決を通じ消費者サイドの判例を獲得し、それを国の制度改革に結びつけるよう努力したことだと思います。

初めに少し触れましたが、発会当初に活動していた「プレハブを良くする会」「マンション問題で行動する会」などはかなり派手な大衆抗議活動を繰り広げておられました。そこには同一マンションないしは同一業者の被害者ならば団結して闘える共通の連帯性があるとの前提があったと思います。しかし私たちは欠陥住宅、特に戸建住宅はたとえ同一団地、同一業者の物であっても各人の注文または売買契約に個別性が高く、その欠陥箇所や欠陥原因も区々別々に亘りますので、通常は同一業者に対する共同抗議などは解決のためには具体性に乏しく、被害者同士が気勢を上げるだけで後には交渉の成果が具体的に残らないと考えましたので、あくまでも個別紛争を個々別々に交渉や裁判を行ったわけです。

もっと端的に言うならば、労働運動や住民運動とは違って欠陥住宅被害解決運動はそもそも住宅が消費者にとっての最高の買い物で、または財産なのですからある意味では資本主義社会における売り手買い手の問題で、一つ一つの紛争に個別性が高く、同じ建物の被害者同士でも微妙に利害関係や事情が違うのですから、労働運動や社会運動をお手本とした大衆活動には欠陥住宅被害者救済運動がのらなかったのは当然のことでしょう。

冒頭に述べたプレハブやマンションについての団体も、昭和50年代の後半にはその具体的活動を聞かず、またそれを助けていた日消連などでも、欠陥住宅問題の取り上げが無くなって今日に至っています。


15、紛争解決にあたっての心得

   ――「被害者だから何を言っても許される」との甘えを捨てる――

司会者

長い活動を通じて消費者に何かアドバイスがありませんか。

答者

そうですね。大多数の方は訴訟をすれば裁判所を通じての解決であり、請求には法律上認められる権利の範囲内のものでなければならないことや、代理人弁護士の説明や説得に耳を傾けていただけるのですが、最近残念なことに法律上認められる損害額を超えて、権利の請求というよりは法律をこえた無理な強談としか思えない無理な要求をされる方もあります。しかしあくまでも「正す会」は法律の範囲内で法律を活用し、被害救済とその実績による制度改革を目指しているものですので、このような方の説得には苦労します。

被害者自体が法律の枠を超えた復讐や怨念の領域に足を踏み入れればルールの無い戦いとなり、結局は消費者が傷つくことで終わります。裁判所もこのような消費者を見ると、業者も業者だがこの人もこの人だと、折角欠陥を技術的に立証しても、この人が無理を言うから手抜きされたんだろうと醒めた見方をされる結果となります。いずれが狸か狐かというレベルで見られるのですね。

初めに「正す会」が成功したひとつに欠陥判断の基準の確立ということを申し上げ、その中核に建築基準関係法令を据えたことだと申し上げました。実は「正す会」活動以前ではその基準を法律実務家も自覚せず、いきなり鑑定人に対し先ほど言いましたように、「瑕疵あらば指摘せよ」と、などという鑑定事項が示されたのも、実は鑑定を求める者にも何が欠陥かの判断基準がなかったからにほかなりません。強いて言えば建築家が欠陥だというものが建物の欠陥だという素朴な又は怠惰な訴訟遂行であったわけです。

欠陥即ち瑕疵は極めて法律的な判断であって、究極には判事が判断するもので、代理人弁護士は判事にその材料を提供する役目をしているわけですから、欠陥判断についての明確な基準が無ければ当事者の主張は目茶めちゃとなり、横へ横へと話がそれて訴訟が長期化したのは当然です。

そのとき私たちは何を判断基準にすれば有効かという観点から、判断事項が法律判断である限りは基準もまた法律でなければならず、それが建基法令に定める建物品質についての技術基準であると結論し、今日の成功を導いたのです。

被害者が法律の枠を離れた獲得要求をするならば、消費者自体が法律の外に出ることとなり、法律の保護を受けることが出来なくなることをわかってほしいと思います。

結局、法廷は「大きな声を出すところではない」ということです。


16、欠陥住宅被害者と、他の建築被害者の違い

   ――マイホームの被害者こそ消費者被害者――

司会者

今のお話に多少関連するかと思うのですが、欠陥住宅(マイホーム)の被害者と欠陥建築の被害者、つまりアパートや貸家とか、その他事業所の建物の注文者との違いはあるでしょうか。

回答者

あると思います。やはり欠陥建築の被害の場合は、被害者の方でも値切ったとか、色々駆け引きをしたとか、騙したとか、注文者も業者もいずれが兄貴か弟かというような事情が入ってくるわけです。我々は仮にその場合でも建物自体に欠陥があればその欠陥を証拠立てて損害賠償をし、残代金と相殺するなり既払い代金の取り戻しをするわけですが、そんないやな事情があると、かりにどんな建物でも欠陥は欠陥ですのでそれなりの成功を収めたとしても、勝っても何か割り切れない想いが残るのは事実です。やはりマイホームの被害者が欠陥住宅被害者の典型で、この人達の場合は一方的に業者の方が甘言を弄して無理な契約をさせたとか、掛け声ばかりの約束で何一つ構造図面についての具体的仕様の無い契約をさせたとか、生産者側の悪質性が見られる場合が多く、逆に被害者のほうは騙されているのに適切な証拠を取らず表現できないものですから本当にかわいそうな結末になるので、やはり我々としては消費者訴訟としてとらえてこの方達の力になってあげたいと思うわけです。


17、東京と大阪の欠陥住宅被害者のちがい

   ――東京は不動産が高く法的手続きに及べる余裕が少ない――

司会者

東京ででも「正す会」は例会を持っていますが、長年東京と大阪の被害者を見てこられて何か違いがあるように思われますか。

回答者

欠陥住宅の被害は被害ですから被害を回復してあげなければならないのは共通のことですが、被害回復のためにはある程度のお金、つまり調査鑑定料や弁護士費用の支出もいるわけです。東京ではこの必要な費用の問題もあるのか、例えば2年にわたってご相談に見えているのに、そして結局は訴訟をしなければ解決しないと分かっているのに中々訴訟に踏み切れない人も多い訳です。

大阪では、訴訟をしなければ解決しない案件では、お目に掛かった当初の段階から初回調査、訴訟費用の検討、鑑定と弁護の委任契約と割合短時間で進んでいくわけで、例会に来られた方の手続きに及ぶ時間は短く、極めて早い段階から手続きに及ぶか否かが決まるわけです。東京では大阪の方と同じような事例でありながら、そして手続きの費用もおそらくお分かりになっていながら、中々鑑定と弁護の委任をされず2年も経っているケースも珍しくありません。

ご相談に当たる専門家もそのレベルが大阪・東京とも共通なのになぜこのような違いが出てくるか色々と考えてみましたけれども、やはり今の日本は同じ職種であれば、そして同じ勤続年数であれば職種によって多少の違いはあってもほぼ同額の収入があると見られるので、収入の違いからの東京・大阪の違いは出てこないと思います。むしろ東京では一極集中の結果地価が高く、不動産経費が高いし、また不動産価格の高さにつれて他の物価も大なり小なり押し上げられる傾向があるのではないでしょうか。東京の方の受任スピードが遅いのは、言いにくいことですがその分だけ東京が物価が高いし、教養費や教育費もまた高いので、結局消費者に欠陥住宅の手続きに及ぶだけの余裕が少なくなりこのような結果になっているのではないかと推測します。  


18、集合住宅への欠陥被害の拡散

   ――木造軸組みの典型的戸建住宅被害からマンション被害へ――

司会者

最後に、最近の欠陥住宅運動の動き、または流れはどのようになっていますか。

回答者

調査鑑定の方法や鑑定書の書き方、及び欠陥住宅訴訟の法律構成の仕方や訴訟の進め方についても、この30年で「正す会」が試行錯誤して進めてきた方法がパターン化され、とくに澤田和也代表幹事の『欠陥住宅紛争の上手な対処法』【民事法研究会】の刊行で大方に承認され定番化されたと言っていいでしょう。

但しこれは戸建住宅について言えることです。戸建住宅の欠陥は今もありますが段々少なくなって、とくに30年前頃よく見られた、筋交いが無かったり、材料と材料の仕口や継ぎ手を欠き込みなどの仕口加工をせず、とん突きの釘打ちといったような法定の構造方法を無視する古典的な手抜きはほとんど無くなったのではないかと思います。ただそれにかわって業者側の手抜きも巧妙化し、建基法令の一般的な技術基準によらなくてもよいプレハブ住宅や型式住宅などの仕事を取り、一般建築士や弁護士は型式住宅や認定工法の構造方法などの技術基準を知らず、認定図書を遵守しなければ欠陥判断をしにくいことなどを奇貨として、住宅会社は型式住宅やプレハブ住宅の販売を大々的にし、この住宅の購入者の被害が増えてきたように思います。これらプレハブや型式住宅の欠陥の有無を判断する大臣が認定した設計図書の消費者への交付はほとんどされず、欠陥判断をしにくいようにさせ、欠陥の隠蔽、交渉の引き延ばしを図る欠陥紛争の悪質化の傾向が見られます。

また、戸建住宅に変わって都会地などでは当然のことながらマンションなどの集合住宅が増え、この欠陥が顕著となってきていますが、残念ながらマンション被害は居住者の理解が得られない限り又はよほど管理組合がしっかりしていない限り中々適切な対処ができないのでアキレス腱となってきています。

但し、これについても私たちは悲観していません。30年前から戸建住宅の欠陥住宅紛争を闘い、難しかったこの闘いを今日までレベルアップさせた経験から見れば、これら集合住宅における紛争解決に困難な点も、努力と工夫と体験で克服していけると確信しています。  


19、おわりに

――欠陥住宅が取り持つ縁を大切に――

司会者

これで、だいたい今まで欠陥住宅を正す闘いの目標や方法の移り変わりと現在に状況をお聴きしたわけですが、おわりに何かご感想があればひとこと。

回答者

私が昭和53年からこの会のお世話をし、鳥巣先生や村岡先生、はたまた木村先生河合先生などのご協力をいただいて今日の盛会を迎えるに至ったのですが、今年で私も76歳、鳥巣先生は83歳、村岡先生は80歳となり感慨ひとしおです。まあこの年齢からすればこれで引退という気持ちになるのですが、そうではなくて、この30年をこの運動の一応の締めくくりとしてお若い先生方を助けて益々この会を地道に発展させていきたいと思っています。でも30年という年月は確かに長かったと思います。考えてみれば3つの世代にまたがる年月ですから、しかしこれだけの年月が経っているのに未だ欠陥住宅がなくならないのが現状ですが、それならばこそ益々やっていこうという意欲がわくわけですね。

 私自身も欠陥住宅被害者でしたが、欠陥住宅に出会ったおかげで皆様方とこの会で出会い知り合うことができたわけで、今の私にとっては“欠陥住宅もまたよき哉”という気持ちです。いうならば皆さんとは欠陥住宅が取り持つ縁で結ばれたのですから。

おわり
(平成20年3月23日)