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●新着情報
欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ学習記事をお届けします。

 

―正す会の窓・・・その57―

 この『正す会の窓・・・その18』から連載をスタート(平成17年11月更新)して以来、永らく皆様方にご愛読いただいておりました欠陥住宅Q&Aシリーズも今回のその25で最終回となります。
これは以前にもご案内しましたように、日本消費者経済新聞に平成16年11月15日号から同18年1月23日号までに「欠陥のない住まいづくりのために」と題して、当会代表幹事澤田和也が連載していたものを改題し、このホームページの読者の皆様方にもお役立ていただけるよう、ご紹介させていただきました。
シリーズは終わりましても、バックナンバーからご覧いただくことが出来ますので、今後はそちらの方からご利用ください。
またQ&A その24  最後の砦は崩れた?
               ―虚偽確認計算書事件と賠償問題―
 は、

お知らせ・その他バックナンバー


        平成18年2月12日  ★確認計算書偽装事件論文集(4)
                                 からお読みいただけます。

(20・9・5)

最 終 回 

欠陥住宅 Q、& A、     (その25)

     住宅の商品としての特質
                ―― テレビなどの工業化製品との違いの理解が必要 ――

(Q) 今までの欠陥住宅問題のシリーズで、欠陥住宅の意味や事例やそれが生まれる原因、さらに調査鑑定の必要や解決のための手続きなどについて、解説していただきましたが、最後に住宅の商品として、他の工業化商品とは違う特質をもっているという理解が消費者に不足していることも、欠陥住宅をつくらせる原因になっているのではないかと思っています。住宅の商品としての特質を簡単に述べてください。

*               *               *

(A) 欠陥住宅の生まれる原因の一つに、消費者の住宅の生産システムについての無知とともに、住宅の商品としての特質についての無理解があります。それは我々の周りにある車、テレビなどの工業化製品とは全く違うのです。

 ところが、高度成長期以後の日本の社会は、優れた工業化製品を生み、それが品質管理の素晴らしさと技術レベルの高さによるものであるところから、我々は住宅の場合でも同じジャンルでメーカーをとらえ、住宅生産も品質管理と技術レベルの高さから、バラツキのない高品質のものが生まれると思い込んでいるところに、欠陥を生む落とし穴があるのです。

(1) 個別性が高い

まず住宅は一つひとつが現場で手づくりされ、個別性が高いことです。

しかも住宅は、土地の上に建てられるもので、その敷地の形態、土質、立地の環境など、土地の個性によって制約または左右されることが多いのです。住宅雑誌で素晴らしい建物を見ても、敷地条件が同じでない限りは建てられるはずもなく、それを無理に望めば、欠陥が生まれやすいのです。

また、外形は似ていても、例えば、型式住宅やプレハブ住宅であっても、その内装や設備は個々別々であり、個人の目的や敷地条件によって、全く品質・性能の違ったものになるのです。同じ姿だから同じ品質を持っていると即断するのは誤りです。

(2) 現場施工性(手作り)

新聞の広告などでは、プレハブ住宅や型式住宅が、一貫して工場で品質管理されるから、高品質でバラツキがないなどとうたわれており、それをそのまま鵜呑みにして飛びつく人も多いようです。

しかしユニット型プレハブの場合でも、工場で作られるのは家の単体であるユニットだけであって、現場で基礎を施工することも必要で、ユニットを組み合わせる作業もいります。屋根を葺(ふ)くことや雨仕舞いも手づくりです。いかに材料や建物の単体が高品質でバラツキがないとしても、現場で施工する者のレベルや管理の程度は様々ですので、外形だけでは同じプレハブであっても、性能レベルについてはバラツキがでるのです。

このことについては、このシリーズのはじめで、住宅の生産システムの昔との違いを解説したところでもお分かりいただけると思います。

(3) 設計図書の必要

すでにこのシリーズの1回目で述べたように、住宅の商品内容は外形だけでは分からず、設計図書つまり図面と仕様書がなければ分らないことです。

何が注文した商品かは設計図書によって決まり、その特定によって分かるのです。この理解の不足もあとで欠陥トラブルを生む原因になります。

(4) 専門技術性が高い

住宅以外のテレビなどの電化製品では、大抵の人は今まで色々なものを見聞したり、使用したりしており、選択するのにさほど不自由のない程度の商品知識と品質についての判断力を持っているものです。

しかし、住宅の場合は、毎日住んでいるものの、その品質性能、特に基礎や構造躯体、下地や雨仕舞い、設備引き込みなど、目に見えない部分は名前はおろか、どんな部品があり、どうしてつくられるのかについては知識がないのが通例です。

しかも、近年ますます建築材料、工法や様式は極めて技術的専門的になってきています。

住まいづくりにあたっての基本的な知識の勉強も必要ですが、あくまでも具体的な住宅の注文購入にあたっては、専門家の知識と判断の補充が必要です。第三者の建築士の活用が大切です。生兵法は大怪我のもとです。

以上のような住宅の特質を理解され、住宅の注文や購入に当たられれば、住宅雑誌などのメリット面だけを強調する宣伝文句を鵜呑みにすることなく、デメリット面に対する疑問も考えられるようになり、思い込みによる不相当な選択、それによる欠陥を避けることができると思います。

いずれにせよ、マイホームは一生に一度のお買い物です。慎重な準備と選択をされ、欠陥の無い快適な住まいづくりによって、より人生の幸福をもたれることを祈念し、このシリーズを終えさせていただきます。

澤田 和也
(平成18年1月13日)