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ボディーチューンアップやパワーウレタンが自動車雑誌に紹介されました。
 

ラリー情報誌「ラリーX(エクスプレス)」より編集長のランサーEvolution のボディーチューンアップを行いました。
  その記録が同誌に紹介されました。     
6万キロからのエボチューン(怒涛編)

■03/02号 Rally-X サイドシル空洞部発泡ウレタン充填  第2部・その2=究極のボディ補強、の巻

 まったくベルコが施すボディ補強術には驚かされるばかりだ。まさかリヤシートの後に隔壁を造ること
になろうとは想像もしていなかったし、それが車の剛性をこれだけアップさせることになろうとは思っても
いなかった。だが、これらはほんの序の口にすぎなかった。これから紹介するのは「こんなチューニング
はふだんはやらんよ」と、ベルコの鈴木さんが教えてくれた究極のボディ補強術。ボディのサイドシルに
発泡ウレタンを充填して、ボディ前後への曲げ剛性を高めるという恐ろしい技だ!

 いよいよ発泡ウレタンをランサーのシャシー、サイドシル部に充填する。作業を行うのはベルコ開発課
の寺田繁さんと松田学さん。まず作業をしやすいように、シートを外し、各部にマスキングを行う。
ウレタンは2液混合タイプだ。フォーミュラーカーのシート合わせに使うものと同じだとか。

 この注入作業の難しい所は、作業の直前に2液を攪拌させるのだが、その注入タイミングが難しい。
なにせ、1ιの液を攪拌すると20倍に膨張してしまうからだ。注入場所は、フロントピラーの付け根、
センターピラー、そしてその間のスカッフルプレートの下でゴムで蓋のされている穴を利用して注入する。
注入はクルマを前傾させて、前の方からウレタンを充填させる。サイドシルのみならず、リヤタイヤハウスの前側にも、ゴム蓋を
はずして充填した。こうして片側約1時間ほどをかけて作業は終了。はみ出した部分はカッターで切り取る。

 発泡ウレタンが完全に硬化するには約1日。ストラットタワーバー付きリヤ・アルミ隔壁の効果と相まって、ランサーのシャシーは
新ヤ以上に剛性感の向上が得られた。またボディがしっかりしたために、サスペンションやタイヤがキチンと動いているのが実感
できた。リヤにはエボUの太いスタビが入っていたために、リヤの滑り出しも早くなり、ドライの舗装でのコーナリングもランサー
とは思えない感じだ。これでは冬にちょっと怖いので、元の細いスタビに交換、リヤの動きもスムーズになった。しばらくしてから、
ベルコの鈴木社長から電話があった。「そうですか、そんなに変わりましたか。それではノーマルのエボとシャシー剛性のチェック
をしましょう。どれくらい剛性があがったか楽しみですねぇ」。こうしてノーマルのエボと私のエボが、ベルコでヒネられることと
なったのだ。

■05/27号 剛性比較試験を実施(1)
ボディを捻った!の巻その1
ベルコで施されたボディ補強術によって、走りも激変した我が愛機ランサー・エボ改。そもそも何のためにボディの補強をしなければ
ならぬのか。そして補強することによってなぜ走りも良くなるのか。
さまざまな疑問を解明すべく、お待たせッ、ついにねじってきました。

実験は2種類。下から荷重を掛けるWLテストとスチールホイールの横から荷重を掛ける
BLテスト。いずれもジャッキで負荷を掛けていくことによって、各測定ポイントでの変化を見る。
ジャッキとホイールの間には、負荷を測定するゲージを設置し、50kg単位で掛けられる負荷を
厳密に測定する。


ダイヤルゲージ
右前輪に負荷を掛けた時にボディにどのような歪みが出るのかを測定する。測定ポイントは
全部で8ヶ所。フロントサスのピックアップポイント右に各1ケ所、左右のサイドシルに各3ヶ所
ずつ(前/中/後部に)設置。少しずつ負荷を加えていた時にどういった数値の変化が表れるか
で歪みを測定する。
 ベルコでボディー補強を施してから約3か月。東へ北へと約5000km走行した後に、どの程度ボディーチューンの実績が
上がったかをテストすることになった。このテストで我々にとって具体的に分かることは、低速、高速旋回性能(フロント周辺の
剛性アップ)とボディーのねじれ剛性である。 
ボディー剛性が向上すると実際にどんなメリットがあるかというと、ボディ剛性をあげることによりハンドリングやサスペンション・
ストロークに対し、人間、ボディ、サス、タイヤ、地面の間に発生する”逃げ”を減らすことができる。
例えばそれは、ステアリング系のガタをなくしたり、ボディ補強、サスパーツの補強、ブッシュのメタル化・タイヤの扁平化・ダンパー
の初期フリクション減少といった様なことで対処できる。つまりメーカーでできなかったこの辺のツボをうまく押さえることが、
ファインチューニングのポイントだ。

 これによりタイヤは、設計者の描いたとおりのアライメント変化を発生し、4輪が計画値のコーナリングパワーを発揮する。
つまり切り出し応答性・操舵リニアリティ・限界の向上に結びつくのである。
今回、私のランサーは、フロントとリヤの両方が向上して自転・公転系のすべてが向上しているはずだし、もちろんドアの合い
もよくなる(ランサーに限らず、がんばって走る人の車は、大体ドアがトホホの状態になっているよね)。

 一般的に自動車のボディの強度を計る時は、ホワイトボディで計測するため、このような市販補強パーツを装着した実車を
計測するのは初めてだそうだ。このテスト方法を考えたのは、ベルコの安田さん。なんと山海堂で発行している「自動車の強度」
という書籍を参考にしたとのこと。その本がある事はまったく知らなかった。しかし、カローラWRCビデオなどで、TTEのファクトリー
でロールケ−ジで補強されたカローラWRCのボディはギリギリねじられていたのを思い出してしまった。そう言えば通常ホワイト
ボディの計測は、亀裂が入るまでヤルって話だった・・・・・・。

 まず計測に使った2台のランサーは、それぞれ約6万キロを走行し、各部のブッシュはラリーアート製の強化ブッシュに交換
されている。補強車はフロント上にオイルクーラー兼用のゴツイストラットタワーバー、フロント下にベルコ製の3点式ロアアーム
バーを、サイドシルには発泡ウレタンを注入、リヤにはストラットタワーバー一体式隔壁を装着したGSR、ノーマル車はストラット
タワーバーも外したRSであることをあらかじめ断っておく。
計測の状況を見てみよう。テストは2種類、縦方向(垂直加重)のWLテストとフロント横方向(座屈荷重)のBLテストである。
ランサーの4輪は、鉄の定盤上に固定され、フロント右横と右下からそれぞれ一定の力が加えられる。そして左右の各A、B、C
ピラーの下にかかる力、左右のフロントアーム端にかかる力をそれぞれ8か所に置かれたマイクロメーターで計測するのだ。
マイクロメーターは、歪んだボディがどれくらい移動したかを100分の1ミリ単位まで計るためだ。フロントアームの計測は、
3点式のブラケットを装着した効果を計るためでもある。

 ベルコではテスト用に専用の治具を用意してくれた。強化パーツを装着した状態で路面から入る力がボディー各部にどうかかるか、
の計測のために、クルマの可動部分をなくしたのだ。つまりダンパーを動かなくしたわけだ。そのためにダンパーの代わりに、
鉄棒をダンパーの長さに切ったものを用意し、それにピローボールでアッパーマウント用の鉄の円盤につなげたものの下に、
ハブ+ブレーキを装着できるようなブラケットを設け、ランサーのオリジナルハブ・ブレーキを装着。
タイヤの路面への接点をできるだけ小さいものにする、ということから、直径3センチ、長さ5センチくらいの鉄棒を、上を鉄の円盤
でふさいだ中華鍋状の底にこの棒を装着。その鍋の上に、ランサー用の鉄ホイールを固定するための鉄のホイール受け箱を
装着し、そこに鉄ホイールを溶接。右前輪横からジャッキで50kg単位の力を加える。ジャッキとホイールの間に計測器をはさんで、
加える力をキチンと計っている。

 テストの方法についてはイラストと写真でどのような手順で行ったかを説明した。結果については、次号にて。
一見、新作のサスペンションのようだが、これはベルコで
製作されたダミーダンパー。可動部を無くし、負荷をリニア
にボディに入れるためにわざわざ製作された道具。
実はただの鉄棒。
写真左:ダミーのダンパーを前後左右のサスペンションに
組む。ダミーとはいえ、ハブ&ブレーキをちゃんと装着できる
ブラケットをもつ。ピロアッパーが泣かせるワンオフの逸品
なのだ。
写真右:荷重を掛ける右前ホイールをのぞいた3輪は、全て
この中華鍋のような治具に溶接。。具の下部にある
直径3センチの鉄棒を定盤に溶接する。接点をできるだけ
小さくするためだ。
全部で8か所の計測ポイントにダイヤルゲージを設置。
フロントサスのピックアップポイント、左右に各1か所。
左右のサイドシルに各3か所ずつ(前/中/後部に)だ。
写真左:これは左フロントに置かれたダイヤルゲージの
様子。準備はOK、あとは右ホイールにパキパキと荷重を
加えられるのを待つばかり。



写真右:いよいよテスト開始。これは下から荷重を掛ける
WLテスト。50kg単位で負荷を与えるために、ジャッキには
測定用のゲージが組み込まれている。最大荷重250kgまで
のテストに、果たして我が愛機の運命やいかに
・・・・・・(次号へ続く)。

■06/15号 剛性比較試験を実施(2)
最近、各方面から、ラリーXもとうとう本格的なチューニング雑誌になってきたとお褒めの言葉をちょうだいしております。
ありがたいことです。ますます、本物のチューニング道を目指して頑張りますので、よろしく。
捩じってわかった、ボディーチューンの神髄、の巻
 この企画では、6万キロを走行したランサーに、ボディー剛性を目的とした補強
パーツを装着した場合、具体的にどの様なボディ剛性の向上が得られるのか。
剛性アップを感覚的なものだけでなく、数値で知りたい、というところから始まった
このテスト。いよいよ結果を報告します。
 
 今回のテストでは比較のために、全部で3台を捩じった。1号車はベルコ製リヤ
バルクヘッドの隔壁&サイドシル内への発泡ウレタン&高張力鋼ロアアームバーで
最強の補強が施された我が愛機エボT(GSR)。2号車はノーマル・エボT(RS)。
さらに比較のために、3号車(2号車にロアアームバーのみの補強を施した)を用意
した。いずれも各ブッシュ類はラリーアート製の競技用強化品に変更されている。

 最初に、垂直方向への荷重テストだが、この試験では−漠然とした表現だが
−ボディー全体の剛性が分かる。これがきちんと確保できているということは、
サスペンションが設計者の意図どおりに動き、タイヤがキチンと路面をグリップして
いることを意味する。
まずグラフ@は左前輪に垂直荷重を掛けた時の、右前輪ロアアームの変位を
表したものだ。1号車の補強ランサーは入力された荷重に対し歪みがないため、
正比例の傾向となっている。これはボディの剛性が高いために、受けた荷重が
ボディー各部に直接伝わった結果と考えられる。補強効果により入力された
荷重への反応がリニアになった結果と言えよう。

 対してノーマル・ランサー2号車は、荷重の入力を受けると剛性の弱い部分で荷重を吸収し、歪みを発生しながら少しずつ
ボディーに荷重を伝える(つまり反応が遅い)が、途中から急激にグラフが急上昇し(つまり歪みが発生している)ことが
分かる。3号車も傾向としてはノーマル車と同じだが、ボディ強度は確実に向上している。ノーマル車に対し、ロアアーム
バー装着車は11%の補強効果があった。 
続いて、垂直荷重を掛けた際に、サイドシル部に現れる変位を表したグラフAを分析してみよう。1号車は入力された
荷重に対して変位が直線的な傾向となっている。これは前項でも触れたとおり、ボディー剛性が高くなったために、
受けた荷重がダイレクトに伝わった結果と考えられる。
これに対してノーマル車の2号車は、ある荷重以上から、数値が逆方向に変化しはじめる。これはボディーが歪んで、
唐突にヨジレが発生した状態になっているためだ。この状態で走行した場合、ドライバーがクルマを正確にコントロール
することは困難であろう。
ノーマル車にロアアームバーを装着した3号車の場合、ノーマル車と同様にヨジレるが、そのポイントは高い荷重まで
耐えることが分かった。数値的に言えば約10%の向上が得られている。

 さて、最後に水平方向への入力比較テストの結果がグラフBだ。これは、旋回性能が低速から高速まで向上しているか
どうか、ということが分かる。同一変位値時の荷重を算出し、各車の比率を算出すると、ノーマル車に対し、ロアアーム
バー装着車は1.28倍、補強車の1号車は想像を遙かに超えた2.27倍という数値が出た。テストを行ったベルコの
エンジニアによれば、「この数値は単なる補強では高すぎる。たぶん通常のストラットタワーバーではない、この頑丈な
ヒートスタビライザー(ストラットタワーバー兼用水冷式オイルクーラー。商品名ラミノーバ)の効果ではないか。
つまりストラットタワーバーについても、左右のストラット部をガッチリ押さえつけるスチール製のものなら、同様の効果
が得られそうだ」とコメントしている。

 これらのテストから、きちんとした剛性を確保のためには、ロアアームバーとともに、サイドシル部への発泡ウレタン充填
+リヤ隔壁一体式ストラットタワーバーの併用に加え、頑丈なフロントストラットタワーバーとラリーアート製強化ブッシュ
の装着がきわめて有効であることが分かった。ランサーオーナーに限らず、読者の中でさらなる操縦安定性の向上を
めざすなら、ボディ剛性の向上は必須と言える。
図@:垂直荷重テスト
(フロント・ロアアーム部の変位)
右前輪に下方向から荷重を掛けた際に、左前輪の
ロアアーム取り付け部に現れた変位を表す。ノーマル
の変位が小さいのは、 ボディの捩れが大きいため。
1号車の変位は直線的だった。
図A:垂直荷重テスト
(サイドシル部での変位)
同じく垂直方向への荷重だが、ボディーの右側
のサイドシルに現れた 変位を表す。グラフ
が右下がりなのは、上方向への荷重に対して、
変位がマイナス方向(下方向)であるため。
図B:水平荷重テスト
(フロント・ロアアーム部の変位)
右前輪に横からの荷重を掛けた際に、左前輪
のロアアーム取り付け部に現れた変位を表す。
補強車は、対ノーマル2倍以上の剛性アップ
を果たしていることがわかった。
捩りテスト中の我が愛機。
一歩間違えば、永久歪みが発生してしまう
だけに、ベルコのアドバイスで荷重は
250kg(!)までに止めた。


写真左:水平方向の荷重テスト

写真右:垂直方向への荷重テスト
ジャッキで一定の負荷を掛け、その時のボディー各部
の変位を計る。

■ベルコのボディー剛性アップ技術がいろいろな雑誌に紹介されました。
紹介・執筆はあの国政さんです。
98/11号「CARBOY」誌
「AUTO jumble」誌