夜来の雨もあがり、朝の散策をしていると、春の山はウグイスの鳴き交う声で一杯である。よく聞くとその中に、その前の鳴き声にそっくり同じ調子で鳴く奴が一羽いる。ただし、高音は苦手なのかそこだけは下手くそである。耳をすませて声の主を探すと、一羽だけ高木の梢にウグイスよりは少し大きめの鳥がいる。モズである。薮の鳥ウグイスが ヒノキの梢に止まるはずもないのに、何故モズはそんなところでウグイスの物まねをするのだろうか。自然の不可思議さ、おかしさにますます引き込まれてしまう。

 森林を再生させる作業はかなりハードな労働を伴う。にもかかわらず、活動には老若男女を問わず 必ず幾人かは参加してくる。最初から森林再生の使命感をもって参加する人もおられるかもしれないが、まず第一歩は森林ボランティア体験って何だろうという好奇心から参加するひとが多いと思う。その中で、自然の懐に抱かれて生き生きと活動しているという喜び、作業開始前と終了後の結果がその目で確認でき、 達成感、充足感が得られる喜び、そしてその結果は仲間との共同作業によるものであり、 新たな人との邂逅があって、人との繋がりが得られるという喜びがあるからこそ、参加したい、 また行きたいと思うのではなかろうか。

 森林荒廃の原因や再生の方法や技術などは参加回数を重ねることによって覚えていけばよい。まずは自分らしい楽しみ方を見つけることだ。一つ二つと知っている植物の名前を増やしていくのもよい。そしてそれがどのような状況の中でどんな生き方をしているか植生を観察するのもよい。伐採した木を使ってクラフトをやってもいい。焼き板細工をやってもよい。炭焼きもできるしシイタケ栽培もできる。また山野草を使った野外炊事を楽しむのもよい。
                                    (K)

NEXT

top 1         10 11 12 13  14  15