ちかごろ思う事

 

この一年で始めたこと

平成24年12月27日

一年ほど前からお茶を始めることになってしまいました。未だ変わらぬ優柔不断な性格によるものですが、・・・古希の手習いですね。
表千家に所属する吉田生風庵の内の汲古会という30名ほどの会でして、全員男性。第2日曜日の午前10時から12時までがお稽古の時間です。茶道など全く知らないからとお断りしたのだが、お手前など知らなくていいから、また、その年で今更覚える気もないでしょう!と言われ、へーそんなお茶もあるんだなあとついその気になってしまいました。女房には「あなたは野鳥に詳しいからきっとそれが役に立つわよ」とけしかけられ、体験入門することになりました。懐紙と扇子があればよいとのことで、恐る恐る出かけました。しかしいざ正座をしてみるとなんと!踵(かかと)がお尻に着きません。3センチほどの隙間が出来てしまいます。いつの間にか膝関節の可動域が少なくなっていました。しかもお茶の席というのは座布団もないのですね。
これでは5分と持たない!どうしよう!しかし、よく見るともう胡座をかいている方もおられる。でも新人としては、はいはいと胡座をかくわけには行きません。その時「お楽になさって下さい」と声がかかる。うれしかったです。この日は濃茶のお稽古で、何が何だか分からない内に終了してしまいました。
翌月、氷の茶会に出て欲しいといわれました。いつの間にか会員です。この茶会は2日間で500人くらい来る大茶会のようですが、汲古会は単独で一日設けていただけるということでした。押すな押すなの大茶会ではなく、15名程度のゆったりとした茶会でした。そのころ私は、正座しても何とか踵がお尻に届くようになっており、30分くらいは座っていられるようになっていました。ところが、正座して前屈みになると(お茶碗を拝見するとき)下腿外側に激痛が走ることがありました。これを何とかとかしなければ!当院の看護士がショックアブソーバーを作ってくれたのでそれを下腿に巻いて出かけました。ところが、それでも激痛が走りました。あれ?と思いズボンの上から下腿を触ってみると・・・ない!どこかへ落としてきたらしいのです!茶室に変なものが落ちていたなんてことになりかねません。と思って振り向くと、女房がにやっと笑ってハンドバッグを指さしていました。
そんなことで1年過ぎてしまいましたが、お手前はさっぱり覚わりません。始末の悪いことに、行くまでは覚えているつもりで自信満々なのですが、いざというと「あれ?」となってしまいます。つい先日のことですが、大きな茶会の三客でした。濃茶の場面です。半東が正客になにやら話しています。何言っているんだろうと思いましたが聞き取れません。失敗のないように三口半で頂き、懐紙で丁寧にふき取っているとき、また半東が飛んできました。「そのまま!そのまま!」「は?」「下げさせていただきます」と茶碗をもっていってしまいました。正客には割れるといけないので拭くまねだけにと言ったらしいのです。後で知ったのですがその茶碗は井戸茶碗といい、室町時代に朝鮮から渡ってきたもので普段は五島美術館に展示されているものでした。写真で見るとヒビがいっぱい入っています。拭いたときにぽろっと割れたらと思うと今でも背筋が寒くなります。
そんなこんなで何とか暮らしております。これからもよろしくお願いします。

Akihiko Fukada