ちかごろ思う事

 

子育てについて その1

平成17年9月17日

子育ては人間始まって以来、いやもっと前から行なわれてきました。親から子へ、子から孫へそのノウハウは伝授されたものと思われます。しかし戦後、特にここ20年は時代の流れが早くなりました。平安時代から江戸時代の数百年で変化したものよりも、ここ20年での変化の方が大きいと思われます。子育ての目的は心身共に健康な成人を作ることにあります。しかし、そのノウハウは親から引き継がれるものとは少し変えなければいけないかもしれません。

魚釣り、水浴びなど私達を育んでくれた矢作川も今では「よい子はここで遊ばない」になってしまいました。子ども達は携帯電話を持ち、ファミコンで遊ぶ毎日です。親は勉強さえできれば後は少々...と思っておられるようです。それはある面仕方のないことです。

 社会に目を転じますと、銀行は護送船団方式だったと言われています。護送船団方式とは戦争中物資を運ぶ時、一番遅い船にあわせて船団を組み、それを守りながら全員が無事に目的を果たすというやり方です。それで銀行は保護されてきました。しかしよく考えると、日本全体が護送船団方式であったように思えます。会社は終身雇用で、出世の差はありますが定年までおいてくれました。大学も入ってしまえば無茶をしない限り卒業させてくれ、就職先まで面倒見てくれました。高校は、やはり入ってしまえば同じです。それは都会では中学校、小学校、幼稚園までさかのぼります。子どもの幸せを、安定した、高収入で、人から羨望されるという点に起きますと、子育ての目標はよい幼稚園に入れることになってしまいます。(私達岡崎市では小中学校で如何によい成績をとるかですが)しかし、護送船団方式が壊れてきました。遅い船はどんどん沈められてしまいます。あの銀行でも潰れてしまいました。そして会社では再構築(リストラ)と呼ばれる首切りが横行しています。一旦就職しても3年以内に辞めてしまう人が3割もいるそうです。この傾向は今の不況から脱却しても元へ戻らないのではないでしょうか。今までは教授が選んでくれた会社で与えられた部署で頑張っていればよかったと思いますが、それで安全という訳には行かなくなってきました。言われたことを言われたように言われただけ行なっていたのではダメな時代です。これからは自分の意志で未来を切り開いていかねばならなくなるでしょう。そしてその結果の責任は自分で負わねばならなくなります。ですから、自分でものを考えて実行する人間を育てなければいけません。しかし、教育システムが変わるのはずっと遅れるような気がします。

先ほども申し上げましたが、子育ても目的は心身ともに健康な成人を作ることにあります。それは確かなのですが、時代に合わせて子育てのノウハウも少しずつ変えていかなければいけないかもしれません。

Akihiko Fukada