ちかごろ思う事

 

少年達の暴発(自立できない少年達)

2000年5月15日

豊川で17才の少年が見知らぬ家に押し入り見知らぬおばあさんを殺害した。
彼は私立高校の優等生だった。
一家は祖父の代から教師だったという。
この事件の骨格だけを言えばこういうことになる。
こどもは親の期待に添うように必死に生きてきた。
この子には自我がないはずである。
親(祖父?)は自分の期待通りの児に育てようとしてこの児をしっかり管理してきた。
私立高校に行ったと言うことはひょっとすると高校受験に失敗したのかもしれない。
でも彼なりにものすごく頑張ってきたのだと思う。
しかし、それが限界に達した時点で、はじけてしまった。
この種のことはものすごくいっぱいある。
しかし、普通は殺人には結びつかず、登校拒否であったり、拒食症、
過食症であったり、シンナー等の薬物使用、暴走族に入ったり、家庭内暴力に走ったり、
あるいはもっと些細な抵抗ですんだりする。
こういう子供は第一反抗期がないことがほとんどで、自我が確立されていないと思われる。
だから親からみると、親の言うことを素直に聞くとってもよい子になる。
それはその子が親の期待に応えるべく懸命に努力するからだ。
そして親の期待に応えられなくなったり、
自我が出来てくるとエネルギーが蓄積され、ものすごい勢いで爆発する。
そこで親離れ、子離れができると、その勢いは徐々に常識範囲内の方向へ向かい、
その児の人生を歩き出すのだが、出来ない場合は30才になっても部屋に閉じこもり、
ゲームばかりしている人も大勢いる。
なかには新潟の児や、京都の児のようになってしまう場合もある。
私の診療所にもこういうはじけかかった児はしばしば現れる。
その時、なるべく世間で許される範囲のはじけ方にもっていくように努力している。

Akihiko Fukada