ちかごろ思う事

 

転進とリストラ

平成13年6月19日

子どもの頃こんな話をしばしば聞かされた。
日本軍(皇軍)は退却を許されない軍隊であったが、
太平洋戦争も半ばを過ぎた頃どうしても退却せざるを得なくなり、
転進という言葉を使って退却した。
こんな事実を曲げてごまかしているから負けたんだ。
敗戦後のことで、どうしても自己批判的になってしまうのは仕方がないが、
現実を直視しようとしなかったことは事実であろう。
最近リストラという言葉を聞くといつもこのことを思い出す。
10年前までは、好景気に浮かれアメリカの土地や建物をを買いまくり、
今度はアメリカには負けんぞ!などと得意になっていた。
しかし、バブルがはじけた途端元気がなくなり、政策の大失態も重なり、
とうとう土俵際まで追い込まれてきた。
そんな時、この言葉はあっという間に日本中に広まった。
リストラとは re-structure すなわち再構築である。
企業の不採算部分を切り捨てて有望な方向へ立て直すと解釈している。
しかし、どうみても首切り、解雇の意味にしか使われていない。
あれから半世紀以上経っていても日本は変わっていないのかなあとちょっと悲しくなる。

Akihiko Fukada