ちかごろ思う事

 

新型インフルエンザ

平成21年5月4日

メキシコ発の豚インフルエンザが世界を震撼させています。鳥の次ぎは豚か?と思われるかもしれませんが、豚という動物は豚インフルエンザはもちろんのこと鳥インフルエンザやヒトインフルエンザにも感染します。時に2種類のウィルスが同時に感染する場合があります。もし、鳥インフルエンザと人インフルエンザが同時感染を起こした場合、鳥インフルエンザ(H5N1)の非常に強い毒を持ったウィルスが人、人感染の能力を持つ可能性があります。これが最も恐ろしい場合ですが、今回のウィルスはH1N1でした。H1N1というウィルスはいうペイン風邪、ソ連風邪がそうです。スペイン風邪が最初に流行したときには世界で2000万人以上の方が亡くなったと言われております。第二次世界大戦でなくなった方が380万人といわれていますからその数は驚くべきものでした。でも人類はこのタイプのウィルスには多少の免疫が出来ているのではないかと思います。ですからそれほど怖がらなくてもよいのかもしれません。これが日本へ入るかどうかですが、私がこの文章を書いている時点でまだ日本への侵入は発見されていません。しかし、各国への散らばり方から見て、日本へ上陸するのももう時間の問題のようか気がします。
さて、私たち開業医がこのインフルエンザにどう立ち向かうのか?国の方針はこんなふうです。流行地域から帰国した人で発熱などのインフルエンザ様症状のある人は診療所の建物の入り口に張り紙をしておき、そこからインターフォンを通して話をし、新型が少しでも疑われる場合は保健所に連絡し、その指示で所定の病院へ行ってもらいます。では窓口まで入ってきてしまったときはどうするのか?そのときは患者さんにマスクをしてもらい、受付の人もマスクをつけ、そのままご自分の車に乗ってもらい先程と同じように対処するようです。後の消毒はきちんとします。でも現実には私が診察する前に30分以上待ち、そこで初めて外国から帰ってきたばかりだという話を聞くことになると思います。もう手が着けられないですね。しかも新型インフルエンザのニュースが出た途端、タミフル、リレンザという特効薬が手に入らなくなってしまいました。厚労省が押さえたのだそうです。現在まだインフルエンザBが週に20例ほど来院しており、リレンザを投与しております。手持ちのリレンザがなくなれば彼らに出す薬はありません。そして、もし目の前に新型インフルエンザの患者さんが現れたとき、我々自身が飲む薬がなくなるのです。
そればかりではありません。なんとマスクが手に入らないのです。まさか厚労省が押さえていることはないと思いますが、大量のマスクをメキシコに送り、現地の方に喜ばれている映像を見ました。そんないいかっこしないで、現場にまわして欲しいですよね。
もう一つ分からない話があります。以前、鳥インフルエンザが出たとき鶏を何百万羽殺しました。つい先日ウズラが弱毒鳥インフルエンザであったにもかかわらず業者がつぶれるほどウズラを殺してしまいました。今度は豚を殺すのかな?と思っていたら生きた豚を輸入するときは全頭検査をすると言っていました。その後輸入を見合わせるということになったようですが・・・肉は火を入れれば大丈夫とのこと・・・ホントにそんなんでいいのでしょうか???

Akihiko Fukada